Ⅱ章【瞳孔の中に余裕を】

「どうしてこれが、、、」


この状況で嘘をつく気力があったのかと、ラキスは驚いたが

あれぐらい脅しても大丈夫ならと本気で殺気をぶつける。


「お前、中身入ってんだけど。まだ嘘を言う気力があったんだね。」


「え、えっ?。え?」(この目はヤバい。嘘をついた?どういううことだ?・・・・てか心臓止まってるよ俺。てかちょっとちびったよ俺。。。)


(いや、この反応は、ん?)


「あ、すみません勘違いでした。」


「え?」


「はいこれ。おまけで60枚ね。じゃ、あんまカマかけるんじゃないよ。おじさん。」


「あ、ありがとうございます!!!」


何だったんだった最後の、もしかしてこれ以上こういうことするなよって警告か?

しかも倍くれたし_________



ちゃんとした商品を扱くか。



「これは、いい買い物をしましたね。」

悪い笑顔で今すぐに食べたいという衝動を抑え、宝箱に入れる。どうやら

ここに入れると全くその欲望が消えるらしい。


はやく宿屋を見つけて早く安全な場所でこれを開けたいと考え

直ぐに宿屋が多い場所へと駆け込んだ。


****


直ぐに部屋に戻ると、ラキス自信でも驚くほどに欲望のまま

再び箱を開け、中の果実へと手を伸ばす。


得体のしれないしかしそれ以上に美しい果実へと自然に手が動く。


触れて、ラキスが口内へと入れ、砕き、飲み込み、食道を通り

胃の中に入る。そして体にへと吸収される瞬間

元からこれは体の一部だったのではないかと思うほどの快感と


_____________激痛。


「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」


叫んでいるはずなのに声が全く耳に入ってこない。


ベットの上に悶えるように倒れると、次は体が硬直する。


体が裂かれるかのような、激しい痛み。

例えるなら、そう3つに裂かれた後、濃度50パーセントの塩酸

を傷口に掛けられたようなそんな激痛続いた。

普通は意識を失うか、感覚がマヒするかの二択だが

何故かそれが永遠と続くようなそんな気さえ起こるほど長い

激痛がいや地獄がラキスの前身と脳を犯す。


誰にも聞こえない絶叫が部屋の中で響く_________






*****



「はあ、はあ、はあ、、、」


気が付くと、果実を食べたときと変わらない場所で立っていた。


何かの幻覚だったのか。強烈な激痛の記憶は覚えているのに

そのあとが全く思い出せない。


******



「「「「「「「!!!」」」」」」」


ラキスが箱を開けた瞬間と全く同じ瞬間だった。


全身に伝わるゾクリとした、快感にもにた感覚。


そしてこの感覚は、この世界にいた数名の人間が感じた瞬間だった


圧倒的な何かが生まれた瞬間でもあった。



「あれ?」


何も変わっていないと思ったが、そこでラキスは異変に気付く。

今日の日付が大会当日になっていることに。



そもそもあの物体は何なんだ?欲望のままに行動してしまったが。

そしてなにより、あの時と変わり激痛だけで、何か体に変化が

あったようには感じられない。


「とりあえず、時間は少ない。急ぎますか。」


あんなものを見たというのに、頭はかなり冷静で何をすべきか瞬時に

教えてくれているかのような効率のいい動きで支度をすると

階段を下り、何日かぶりの店員さんと顔を合わせる。


手続きをするとき、対応してくれた人だ。


「あ!大丈夫ですか?お客様!間も部屋に閉じこもっていて

どうかしたのかと思いましたよ。」


「え、、、ああ、すみません少し寝込んでまして。ご迷惑を掛けましたね

後、突然で悪いのですがもう戻ってこないと思いますので代金の方を。。」


「はい、かしこまりました。こちらの方で対処しておきますね。。。?

お客様、コンタクトを変えられたのですか?」


男の店員は、少し顔を傾けながらじっとラキスの瞳を見つめると

そう質問する。恐らく初めにあった時コンタクトを付けていると

思ったのだろう。瞳の色を人工的に変える道具があるらしいと

昔本で読んだことがあったのを本当に昔の事を思い出したかのように

思い出す。


だが、間違えたとしても「変えた」とはいったいどういう事だろうか

考えられる要因は3つ。この店員が勘違いをしている。

特殊な瞳なので、睡眠不足などから起こる

日によって少し見え方に違いがあるという医学的要因。

そしてもう一つが。。。


ラキスは丁度横にあった大きな縦型の鏡のほうに振り向く。


そこには今まで見てきた自分の瞳とは違った異なる瞳が

映っていた。


**:


時は少し遡る。。。


「ねえ、早くワタクシに***をよこしなさい!!!」


「し、しかしもう数が。。。」


彼女は赤い瞳を血走りながら、執事たちに怒鳴りつけ机をたたく。


机にある、皿の上には何かの臓器と思わしき、肉片が綺麗に乗せられていた。


彼女はキレたかと思うと、突然口からツーと赤い液体を零すと

うっとりした表情で片手を振り上げる。


「まだ、ここにあるじゃない。貴方の***が❤」


執事はゆっくりと自分の胸を見ると、

血を吹き出しながら、倒れる。


「「!!!」」


周りいた執事もまた、彼女の行動に驚きながら後ずさりする。が


次々と意思を持ったかのように鞭が、執事たちの四肢を切断していき

血肉を吹き飛ばしながら、***を抜かれる。


「お、お嬢さmあああああああああああ!」


入ったばかりなのだろう、この中で一番若いと思われる

10代ぐらいの男が地獄のようなこの部屋に血の気が引いた青ざめた表情で

逃げ出す。


「あら、あらそんな顔したら、私の「嗜虐心」がぁうずいて!止まらなく!・・・なってしまいますわ!!!」


完全に狂った妖艶な表情で、彼女は男に詰め寄る。


だが、転げながらも出口である部屋のドアに手を掛ける。


「や、やった!」


しかし、ドアは引いても空きはしなかった。


そして、微動だにしないドアの向こうがわから、一人のなじみ深い

男の声が聞こえる。


「大丈夫ですか?!どうなったんです?」


それは、初めて屋敷に入り何もわからない自分に親切に教えてくれた

人物の安心する声だった。誰もなにも教えてくれないなか

困ったことやわからいことは全部教えてくれた信頼できる彼の声だった。


「さん!助けてください!急にお嬢様が食事中に!

それと、何故かドアが固く開かないんですが。」




「・・・・・」




「ぜ、ゼベルさん?」



こんな状況なのに、落ち着いてしまうほど穏やかな声で語りかける。



「では???さん。一度しか言わないので言う通りにしてくださいね

そうすれば、お嬢様は我に返り収まるはずです。」



「え?は、はい。分かりました。」




「よろしい。ではまず後ろを向いて。手を広げてください。」




「。。。はい、しましたよ。次は?」



「その場から少し右にずれて下さい。」



「はい。次は?」




「ではそのまま後ろの方に寄りかかって、私の話を黙って聞いてくださいね・。」



「は、はい。」



「次も一度しか言わないのでちゃんと聞いていてくださいね。

近年、帝国警察がこの国周辺を嗅ぎまわっているため、

***の収集が困難になっていることは知っていますね?」



「は、はいそう聞いています。」


「ですので、、、お嬢様に捧げる***の数を何とか

揃える必要がありますね。ですので・・・」







「貴方にはその分、犠牲になってもらいます。」






「え、、、」



そこでようやく、自分がだまされたことに気付いた男は何かを言おうとした

しかしそれが届く前に、ものすごい音がドアの向こうから聞こえ

やがて収まる。ゆっくりと押さえていたドアを離し、ドアが開く。




「お嬢様、食事はどうでしたか?」



「ええ、私の嚇器も喜んでいるわ。あとほんの少しよ。

二つか一つかしら。。。ねえあなたも私に捧げないのかしら?」


まだ少し、瞳が赤い。それにまだ正気ではないようだ。


「その前に、いいご報告がありますのでそちらの方を先に報告させて頂いてもよろしいでしょうか?」


そんななか、平然と会話する。ゼベルをみて興味が失せたように嚇器を

しまう。



「・・・・やっぱりやめたわ。あの男が私の執事になったらあなたは用済よ

それまでは生かしてあげるわ。ありがたく思いなさい。」




「ありがとうございます。ではこちらが大会出場者のリストでございます。」



折りたたまれた、白い紙を渡すとすぐに下がる。



死体と血で汚れた部屋を後にして、おそらく自室と思わしき豪華な

部屋に入り、執事をドアの前に立たせるとそのまま服を脱ぎ始める。


「ふ~ん結構名の知れた冒険者とかが、エントリーしてるのね。」


ゼメルは直ぐに後ろを向きながら会話を続ける。


「ええ、それなりに情報が流れやすい国ですので。それに賞金に花がありますから」



脱ぎ終えると、紫色の透けそうなぐらい薄い服を着るとそのままベットに転がりながらリストを上から下へとなにか探しているように楽しそうに見る。



どうやら見つけたようで、妖艶な笑みを少し浮かべながら

執事に耳を貸すように手を招く。


「ねえ、この出場者なんだけど。わかるわよね。」


ゼベルは何も言わず、ただ頭を下げると部屋を出た。


「あなたは、人を殺している姿が一番、、、美しいわ。」


***


会場に付くと目の間にはこの国に入ってきた時とは比べ物にならないほど

観客や出場者が集まっていた。出場者はなんと3万人。観客は50万人。

どうやら、最初に予選で大体の人数を絞り残りの二日で本戦を開くらしい


だが、3万もの人数をどうやって絞るのだろうか?


そんな素朴な疑問を抱えつつ歩いていると、、、


「バンっ。」


耳元で突然そんな声が聞こえたので驚き、後ろを振り向くと


ジェルが悪戯をして子供のような笑顔でこちらを向いていた。


「おはよ。相変わらずイケメンだね。ラキス君。」


恰好はあれだが、しぐさは女の子で気持ちがいい笑顔でを向ける。


「あ、ジェル。久しぶり。えっと、、、」


「三日ぶりだよ。名前、覚えててくれたんだね♪」


「ん?そういえばどうやって後ろ姿で私だと気付いたんですか?」


「え?・・・・そりゃ、、、だって、こんなに注目浴びてたら

そりゃ気付くでしょ。」



ラキスはいつの間にか多くの女性の熱烈な視線に囲まれていた。


「あ、ほんとだ。」ニコ


ラキスは今までとは違い、できるだけ穏やかな表情で手を軽く振る。

その姿は、女性たちからすればまさに神にも等しいほど美しく

見えただろう。


「ラキス君。君凄いね、あたりにいる女婿陣はメロメロだよ」汗


何かに気付いたようで、軽いステップでラキスの前に来るとグッと体を近づける


「ん?何かな?」


こんな時は、一度驚いていたが今のラキスは何かが違うとラキス自信も感じていた。


「いや、ラキス君の目って更に綺麗になってない?気のせいかな?」


「ああ、カラコンを少し変えたんだ。似合うかな?」


「カラコン。。。。う、うん似合ってるよ。」


話しているとどうやら広場に付いたようで、ここで予選が行われる。


「ねえ、ラキス君はどうやって本戦の出場者を決めるか知ってる?」


ジェルは悪戯っ子のようなニッとした笑顔をラキスに向けながら

質問してくる。こういう場合は大抵質問の答えを知っているときだと

勝手にラキスは考えている。


「その顔は知ってそうだね。教えてくれる?」


「え~じゃあ。ラキス君がワタシにカワイイって言ったら考えなくもないかな~」


口元に人差し指を添えて、試すようにこっちを横目で見てくる。


「ジェルはカワイイ。はい。教えてくれる?」


表情一つ変えないで言われるとは思わなかったジェルは一瞬ドキッとする。


(何今の。。。感覚。。。。)


「結構、すんなりと言うね。。もしかして言い馴れてるとか?」


「違いますよ。ジェルが本当にかわいいと思ったからすんなり言えたんですよ。」


少し、頬を赤くしたかとラキスは顔を見ようとするが、ジェルの表情は

余り変わらずいつもの笑顔だった。


「まあ、怪しいから及第点かなでも、ジェルちゃんは優しいから教えてあげちゃう。それはね___」




「殴り合い♪」




「え?今何て?」


聞き返そうとしたが先にスピーカーから爆音が響きわたる。


「皆さま!!!今日は集まっていただきありがとうございます!

あちらの方で、主催者のカザミラ様も拝見しおられます!

予選の方ですが、実力があるのが最低条件!ですのでルールは簡単

これから皆様方には殴り合いをして頂きます!!!!!

制限時間は無制限!最後までたっていた20名が本線出場です!!!それでは


スターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーート!!!!!」


こうして、予選は多くの歓声とともに始まった。


****


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『美帝達の犯罪記録』 古舘 @huru

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