Ⅱ章【目は口ほどにものを言う】
「なんだ、、これ?」
白いコートに赤い腕章をした数人の男女は困惑したような目つきで
互いを見ると、道端に落ちている死体の残骸後に息をのむ。
「どうやったら、こんなきれいに上半身と下半身が分かれるんだ?」
傷口は綺麗な状態で、転がってあった。
「ロッツ隊長、この状況どう見ますか?」
死体を調べている、コートを着た一人が同じようなコートを着た
青色の腕章を付けた、他と比べると年が10歳ほど高そうな
男が座ったまま、独特の口調でひゃべりだす。
「あの通報してきた酒場のマスターも怪しいが、こっちの死体の方が
異常だなぁ、この死体から察するに人間では到底出せない速度で、それも的確に
人を殺す奴がここを通ったってことは間違いないんだな。つまりこれは
人間の仕業じゃねえってことなんだな。恐らくこれも、いや絶対。能力者
による犯行それもB級以上の殺傷能力がある能力者の仕業だなんだな。」
それを聞いた、男は再び口を開く。
「もしや、最近犯罪を繰り返している「殺戮執事」の仕業
でしょうか?」
一瞬考えた様子だったが、直ぐに否定する。
「いや、これは全く別の人間だろう。奴は貴族や王族しか狙わない。
それに今はここより東の方で目撃されたと、報告が入っているから別のやつだなんだな。」
つまり、恐ろしい標的がまた増えたということだ。
その事が分かったのかあまり表情を変えない男の顔が少し笑ったように見えた。
「では、推定値はどうしますか?」
赤い腕章付けた男は、チラッと倒れた死体を見た後。
「推定犯罪値はAで行くんだな。」
「Aですか?!、急にそんなに懸賞を付けていいですか?」
犯罪者には殺害又は捕獲した場合、組織から懸賞金がしはわられる。
ほとんどが、この「帝国警察」の人間が得るが。
殺害、捕獲は一般人でも賞金は出るので、それ目的で動く人間もいる。
なので、犯罪値を決めるということは非常に慎重に行わなければ
ならない。なお最初はD高くてもBがセオリーである。
「ああ、こいつはそういう相手なんだな。」
ぐふふふゥと不気味に笑いながら、ロッツは死体を見続け何かを思っていた。
**
「貿易で栄えた国だけあって、人が多くにぎわっていますね。」
国に入る前から、多くの人々が集まっていた。
ばれないように、サングラスをつけながら歩いていただが。
人が多いせいか、あまりラキスの容姿に気付かれることなく
入札口まで来たのだが、そこで問題が発生した。
「本人証明書はお持ちですか?」
(・・・・証明書?そんなの聞いていないだが、、、、)
「お客様?証明書を見せていただけますか?」(こいつサングラスして
るし顔がよくわからない、怪しいな。)
男の声に若干の疑惑の色が見えた。
丁度そのころ、ラキスの後ろにはある女が並んでいた。
(あら?あの人どうやら許可証も知らない田舎者みたいね。
ま、私には関係ないですけど。。。ん?)
***
あまり、確信がない物を使いたくはないと思っていたが一か八か
サングラスを取り、職員の目を覗き込む。
「私の目を見ろ。」
そういうとラキスは瞳を怪しく灯す。
「は、ハイ。」
職員は暗示が掛かったように、意識をもうろうとさせると
ラキスの指示道理に動き始めた。が何故か目覚めてしまい
正気に戻る。。
「おい、おまえ。証明書がないのであれば不法入国として
ちょっと来てもらうが、、、」(こいつこんな顔してたのか、、
ん?もしかして女か?。。。いや男か。こんなきれいな男いるのか?
いやいないな、幻惑だ。うん。さっさと独房に入れ込もう。」
「え、えっとですね。。。」(ど、どうする!考えろ考えるんだ。)
困った顔のまま愛想笑いを浮かべたがこの後どうするか考えていると。
突然後ろの方から、声が聞こえる。
「ちょっといいかしら。。。私の弟に何か用かしら?」
「え、、、」
出てきた女性は、ラキスと同じぐらい整った容姿で
瞳は赤くルビーのようで誰がどう見ても絶世の美女だった。
女性は、黒い他の人が持っているような証明書と呼ばれている
物を職員に見せる。すると目を見開き、そのカードを見ると
口をパクパクしながら、頭を下げると後ろに下がった。
そうして、無事入国すると、ラキスはまずお礼を女性にする。
「あ、ありがとうございます。助かりました。お礼をさせてください」
ひとまず、助けてもらったわいいが、警戒したまま。情報も欲しいので
そういうと、女性はラキスの顔と当たるか当たらないかぎりぎりで
顔を止めると。じっと目を見つめられる。
「あ、あの。。。」
ラキスが少し恥ずかしそうに眼をそらす。
「ダメよ!私の目を見なさい!」
怒るような言い方でラキスの眼球を強制的にむかせる。
数秒ほどじっくりと見ると、謎の微笑を唇の漂わし離れる。
「お礼は、いいわ。だって、、、後で返してもらえるのですから。」
女性はそういうと、ラキスから離れ、気が付くとスッといなくなっていた。
(綺麗だったわね、あの目。絶対に手に入れて見せるわ。絶対に。)
「なんだったんだ、、、あの人。」
これが、ラキスとカザミラの初めての出会いだった_____
****
小さなきっかけから、わかったことだが、この目には人を
暗示のような効果を引き出す力があるらしいだが、シュティールや
フェイス、エステルには全く効かなく目が怪しく光が灯り。
「綺麗❤」とか「美しいね」とかの反応しか返ってこなかった。
人を魅了するだけではないようだが、魅了するというのもいまいち
今のラキスには分かっていなかった。
「本人証明書か、」
そのようなものは、見たことも聞いたこともなかったが
恐らく、何らかの方法で個々を識別できる機能が付いた
何かなのだろう。どこかで入手する必要があるな。
・・・にしても
「気持ち悪い!」
なぜだがわからないが、サングラス越しに見た
光の反射などが非常に脳に響き、なぜだが気持ち悪くなってしまう
サングラスは却下だな。
ひとまず、大会に出るために手続きをしに行くか。。。。ふっふ~ん。。
(それにしても、さっきの人美人だったな。。。シュティールよりは劣るけど。。)
会場に付くと、いかつい男たちが鎮座していた。会場を見るもの
出場者を見るものなど様々な人たちがいた。
そんな中、ラキスの容姿は実にインパクトがあり、直ぐに注目されてしまう
ラキスは面倒だと思い、あえて堂々とした様子で歩きながら
出場者を見学していた。すると目の前に珍しい女性の出場者を
見つける。だが彼女が女性というより気になったことがあったそれは彼女が
身に着けている武器の数と種類だ。
肩から腰のあたりに掛けベルトリンクがかけてあり、
赤いジャケットの中に白黒の明細柄の防弾チョッキを着ている。
いたるところに爆弾がかけており、一際目立つのが
背中にかけているライフルだ。彼女が使うとは思えないほど
不釣り合いな武器だった。
ラキスがじっと見てると綺麗な淡いグリーン色の髪をかき上げながら
こちらに気付いたようで灰色の瞳を見開いていたが、
次の瞬間には愛想のよさそうな瞳でこちらに手を振ってきた。
ラキスは少し話してみようとしたが、突然肩を掴まれる。
振り向くと、気弱そうな男がだれかに聞かれたくないように
口を押えながら、耳に話しかける。
「あんた、あの子に声をかけるのはよした方がいいですぜ
ああ見えて推定犯罪値SSの大犯罪者なんて噂があるぐらい狂暴らしいですよ
近付かない方がいい。」
多分、親切心で言ってくれているんだろうが、ラキスは人に関しては
会って話してみてから見極めようと心に決めているので
忠告を感謝しつつ、彼女の方に歩いて行った。
「ずっとワタシの方見てたみたいだけど、何かな?」
軽い笑みを浮かべたまま、年相応の明るい笑顔で聞いてくる。
ラキスが答える前に続ける彼女。
「もしかして、見とれてたとか?いやー困っちゃうなーこんな美青年
をくぎ付けにしちゃうワタシって♪」
周りの空気とは真反対のテンションでしゃべり続ける彼女は
突然独り言をやめると、こちらを向き笑顔で名前を聞いてきた。
「ねえ、ところでキミお名前は?」
つかみどころのない性格をしている方だと思ったが、これは別格である。
今の会話で全く彼女という物が理解できなかった。これが純粋に
彼女の素なのかそれとも、作った性格なのかは大抵の人間は
癖や本質的な本能で分かるはずなのだが。。。
ラキスはあえて、ここで話さない方がいいと考え。
偽ではないが違うふと思い出した名前を脳に刻み、自然に口にする。
「ジョーカーっていうんだ。変わった名前だけど宜しくね
ちょっと気になったから見てたんだけど、横いいかな?ええっと・・」
名前を聞いた途端、えっという顔をしたが優しいのだろう
直ぐに表情を変え、軽くうなずいた後名前をしゃべる。
「私はねジェルトリュドっていうんだ。ジェルって呼んでよ。
ジョーカー。っで聞きたいことって何?」
「いや、ジェルみたいな女の子がこんなところにいて珍しいなって
しかもこんなに重装備だしさ。戦争でも起こす気?」
軽く言ったつもりだったが、戦争という言葉を聞いて
一瞬固まると浮かない顔へと変わっていく。
「もしかして、ワタシの事誰かに聞いた?」
恐らく聞こえてはいなかっただろう、話をスムーズに進めるために
知らんぷりするか?いや。
「うん。実はね。さっきあそこにいたおじさんに聞いたよ。
どうやらジェルは凄いおっかないらしいね。」
いいことを聞いたような上機嫌に目を細めながらニッタと笑う。
意外な反応に目を見開きながら、「怖くないの?」
と聞いてくる。今のラキスからしたら、見つかった!という感じ
で正直気に入っている。実力は分からないがもし高いのであれば
同胞になってほしいと考えていた。
なのでさっきの考えの、疑いはやめる。ラキスはこの彼女が純粋に
こんな子なのだと理解したからだ。こういう時のラキスの判断は
100パーに近いと自負している。
なので素直に感想を述べる。
という設定で行こう。
「怖くないよ。」と
「そうなんだ。」と優しい笑顔で嬉しそうに答えると、彼女は立ち上がり
「じゃあ、次は大会で会おうね。ジョーカー。」
といって姿を消した。
彼女はいつも道理、ゆっくりと部屋の角を曲がりラキスからの視線が
無くなったことを確認すると、「二億~♪二億~♪」と
鼻歌混じりにスキップをしながら隅に隠れていた男を見つけると___
「ヒッ!!」
___________________バンッ!!!!
****
「あの子、、やっぱり、私が見る前に私の事見てた気がするんだけどな・・・」
警戒はして頭の片隅にひとまずおこうと決め、もっと詳しく会場を調べるため
係員にある程度の情報を聞くとそこを離れる。
入った時に比べ多少は視線が消えたが、いまだ見続けているものもいるので
一応離れる。
どうやらこの大会はレインパレテュス国という国が開いた、暇つぶしのような
ものらしい、主催者の名は「カザミラ・レインパレテュス」
王国の第一王女。その誰もがうらやむ美貌で多くの男達の心を奪い「絶世の美女」と
謳われているそれと同時に、またその美貌から犯罪にも手を染めているが
隠蔽しているとか。。。。
美貌・・・?そういえば助けてくれた人も綺麗だったな。
あれ、さっきからあの人思い出すなぁ、、、、、
あれ、もしかして私も心をあの人に。。。
他にも、当日主催者が見守る特別な建物や
会場の広さなんかを調べたり聞いた。
どうやら鏡張りになっている部分は食事もできる所らしい
当然、主催者限定だが。
*
まだ日にちがあるので、貿易の国何かいいものでもないかと
店を転々としてた。店員や呼び込みの人には正面で顔を合わせるので
そういった目で見られれるが忙しいのだろうだいぶ楽だ。
街の人を見ると結構冒険者っぽいひとはマスクやペイントを
している人も少なくないことに気付く。
(骸骨。ライオン?。サル?。)
流石貿易の国なのだろうユニークな物ばかりだ。
今思ったが、大抵のことは貿易の国だからで説明付きそうだ。
様々な防具や武器、薬なのだ売っていたが、ここはまだ
二番目にでかい貿易で栄えた国らしい。多くの敷地と
貿易ルートを国が力を入れて確保しているらしいがまだ上が
いうるとは世界は広いな。そしてここの人はかなり優しい。
当日になるまで観光を楽しむことに決め、今までは国に許可を
求めて商品を売るエリアだったが、許可がいらないエリアの方に
足を運ばせる。
「おお、これはすごいですね。」
さっきとは比べ物にならないほど、活気があふれてた
落ち着いた場所もいいが、皆々が笑顔で売っている姿は
なんだか見ていて気持ちいい。
恐らく、大会があるのも関係しているが人がとにかく多い。
何気なく歩いていると、揃えてもらった服に合いそうな
ロングブーツを見つける。それを手に取った瞬間。
「お、お客さん!お目が高いね、そいつはあの有名なメンダリッタっていう
ブーツ職人が作った一級品だぜ!」
ラキスは大げさに驚きながら、ブーツの裏を少しこすりながら
食いつき気味に口を開く。
「メンダリッタって、あの有名な注文したら3年待ちの天才武具職人
メンダリッタ・マルクのあのメンダリッタですか!凄いなぁ!
そんな作品が銀貨200枚で買えるなんて!」
(お、こいつかかったな。見たところどこかの貴族のようだし
このガンマ様がお前の財布、搾り取ってやるぜ!!!!!!!)
男は(勝った・・・)と心の中で盛大に真上へとガッツポーズを掲げた。
「う~んでも______」
「?」
「嘘ですよね。」ニコ。
ラキスの表情はひどく穏やかだったが恐怖以外の感想が出てこなかった。
「・・・・・・」イキイキしていた表情は一瞬で氷のように固まると
口をきゅっと占めた表情になる。
ラキスは見えないように、男の胸ぐらを引き寄せながら
心臓をにぎ絞められたような恐怖が男をの耳に届く。
それと同時とダラダラと湧き出るように額から汗が噴き出る。
「何も知らないと思って、嘘つくなよ。それと嘘がばれたんだから
この後どうなるか分かってるよね?」
声色や表情は全く変わっていないが、一瞬で悟った。
(かまかけちゃいけない、人じゃん!!!!。やべぇどう見ても
俺より若いというかまだ18~19ぐらいなのに殺されるかと
思った、いや死んでた!!!!!!!!)
今もなお、ラキスの前に下を向いたまま汗をだらだらと流している。
「いや、まあどうやら一級品に間違いないのは本当だから
銀貨30枚ともう一つ商品で手を打ちましょうよ。」
(打ちましょうっていうか。。。。ほぼ強制だろ!!!!!!!!)
「は、はい、、、、」
出ている商品を人と通り見ていると。昔の宝箱のような
錆びれた宝箱のような物に手を付ける。
「これは?」
「え、えっとそれは箱だけで。中に何も入ってません。ほら振ってみたら
分かると思いますよ、、、」
ラキスは言われた通り振ってみると、何も聞こえず
本当に入っていないのだと思い、一応確認のために開けてみると
そこには、黒い果実があった。
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