Ⅱ章【美帝の瞳】

~時はさかのぼり、3年と半年前~


ずっとあの運命の女性と一緒にいたいというのが

今のラキスの本音だったのだが、自分の気持ちを最優先にしたら

のちに、後悔するだろうと思った決断だったのだが。


今は黙っておこうと、ラキスは口を閉じていた。


別れた後、ラキスは一度あの場所に訪れていた。


自分が過ごしたあの醜く、思い出の地に。

死体の山は今もあり、虫がたかっていた、ラキスは

荒れ地になった城跡をゆっくりと歩いているとあの死体もあった。


それはメイドのゼメルの遺体だった。


なんの感情が抱かなかったわけでは無いが、無表情のままその遺体に

近付いた、よく見ると遺体のすぐ横に銀色の箱と大事そうに手紙が

握られていたのが分かった。


ラキスはそれを手に取るとまずは箱の方を開けた。

そこには美しい白手袋が入っていた。


淵にはわけのわからない文字が刻まれており、何か強い物を感じながらそれを

いったん置き、手紙を開く。


「貴方がこれを読んでいるということはもう私はこの世に

いないでしょう、この手紙を見てラキス様は更に、わけがわからなく

なるかもしれませんが、あなたは知らなければなりません。

まず初めに、あの国王は貴方の父親ではありません。

容姿がいいという理由で赤子のあなたは、本当のあなたの父親から

盗まれてしまったのです。。。私はこれしか書けませんが

ウェルのためにもあなたは生きなければなりません、

これからひどい困難に立ち向かわなければなりませんが

仲間を見つけいつの日か本当の父親に会ってください。私のためにも。。。。


そうだ、それと貴方がここに来るときにはちょうど誕生日を迎えてますね

貴方が父親と会った時、すぐにわかるように

この手袋をあなたに贈ります。                


                 親愛なる貴方のメイド、ゼメルより。

                                    」


「・・・・・・・・・・」


ラキスは困惑した、なんだこの手紙は。。。。

どうして、ここでウェルの名前が出てくるんだ?

考え考え続け、あることに気付き考えるのをやめた。


「何が本当なのか見つければいいじゃないか。」


そう口にすると、何故か心が落ち着いた。多くの死体が眠るこの地で

真実が分かったら泣こうとそう決め。この地に置き忘れていた剣を

思い出す。剣はこの国の者ではなく、今も困っている国があるのだから

返そうと思っていたのだ、取りに行くとあったにあったが。。。


「赤い・・・」


刀身は怪しく赤光しており、暗い血のような色をしていた。


何気なく抜こうとしたがなかなか抜けづ、ラキスが本気を出して

その剣を抜いたその時だった。


下に合った、何千といった死体が一瞬で灰と化しラキスは剣と共に

落ちていく。



無事に着地できたが、そんなことよりさらに驚いたのが


「お、重い‼」


かなり鍛えているラキスでさえ重いと感じるまでに重いのだ。

受け取った時の何百倍も重い。


ポタっ、ポタッ。。。


刃の部分に赤い液体が落ちる。


少し痛みを感じ、痛みのある所を触ってみると。落ちるときに傷つけたのだろうか

顔の頬から血が垂れる。


触っていて気付く、治りが遅いことに。

さらに先ほど落ちた血が刀身に吸い込まれるところを。


「もしかしてこの剣、血を吸っているのか。」


まさか、人間の血を吸って、成長する殺器。


そんなおぞましい武器が存在するのかと一瞬考えたが

禁術なんて更におぞましい物があるのだからなそんなものかと

刀身を鞘に納めた。


ひとまず情報収集のために町まで行くことに決めると、あっさりこの場を

去った。この時ラキスは泣くのはすべてが落ち着いた後にしようと

心の中で強く決めたのであった。じゃないと本当に心が死んでしまうから。


「別れたのはいいけど、困ったな。。」


金はあるにはあるが、どこの宿屋がいいかわからないな。。。


遅くなってきたので、今日はどこかで休もうと思っていたが、

変な宿屋に入ってぼったくられたりしたら嫌だなと思いながら

歩いていると、ある看板を見つける。


「安い!安心!安全!誰でも寄ってけ宿屋!」


ヤバそうと、思ったらすぐに出ればいいかとその宿屋の

扉を開く。


「チャリ、チャリン」


中に入ると一回は酒場になっており、

体中に鎧や甲冑を付けた、ガタイのいい男たちが酒を飲んでいた。


誰かが入ってきたことに気付いた店員は直ぐにラキスの方を向く。


「いらっしャッ・・・」


店員が何か言いかけ、口を開け体を硬直させる。


(そ、そういえば。私はあれ以来、顔ばれしてるんだった。。。まさかばれたか?)


「カッコイィ、、」


漏れるように、店員の方からそんな言葉が聞こえる。


どうやら、そうではないらしい。店員は見とれたまま

動かない。


異変に気付いた酒場の男たちは次の瞬間、ラキスの方を見ると

同じように体を固まらせ、瞳孔を大きく開く。


このままだと何かまずいと思ったラキスは店員の目の間で

手を軽く振り、正気に戻す。


「あ、すみません。宿でしょうか?お酒をお求めでしょうか?」


「おい、ララちゃん緊張しすぎて丁寧語になってるぞ。」


この店員の名前はララというらしい、確かにラキスに気付くまでは

元気いっぱいに、接客していたのを見たラキスの目にも

このララという少女が、緊張していて、何故しているかもわかっていた。


ここは、できるだけナチュラルにいこうと、軽い笑顔で


「お酒を飲みに来たんですけど。あそこのカウンターに座ればいいですか?」


あえて、空いている席ではなく、マスターと思しき老人のいる

カウンターの方を指さしながら質問する。


店員は少し震えながら、「は、はい!」と答えると店の奥に急いで行ってしまった。


今もなお、視線を集めているが気にしない様子で席に着くと、


飲むつもりではなかったのでメニューが決まっていない

だが、情報を聞き出すにはお酒を注文していないとどこか不自然だ。

悩んでいると。


マスターの方から口を開いた。


「度数の低い、お酒ですとこちらなどがありますがどういたしましょう?」


そういってマスターは白く半透明なワインをラキスの前に出す。


これは飲んだことが、あり比較的お酒が苦手なラキスもおいしく

頂けるお酒だ。


「じゃあ、それで。。。?なんで私が度数の低いお酒を

探してると思ったんですか?」


「それはですね、お客様がお酒を飲みに来たお客ではないということが

分かったからですよ、何か聞きたいことがあるのではありませんか?」


驚いた、どうやって分かったか知らないが当たっている。


「はは、実はそうなんですよ。ある情報が聞きたくて。」


マスターは眉毛をあげると、少し驚いたようにコップを拭くのを

止める。。


「驚いたねぇ。そういうお客さん直ぐに出ていくか

とぼけるもんだけどね。。。この店じゃ」


「この店じゃ?」


首をかしげながら聞くと横にいた一人の男性が声を出す。


「そっりゃそうだよ、なんたって昔情報屋をしていたマスターの情報を

盗もうとしに来る客がいるぐらいその筋じゃ有名な酒場だからな。

もしかして、あんた、知らないで入ったんか?」


「え、ええ少し世間知らずな身なので。」


「ふ~ん。でどんな情報を聞こうとしたんだ?」


ここで言っていいか悩んだが、別に顔割れしていないのなら

その情報は通っていないのだろう。


「スベラル王国というところに、用がありまして。ですが

何かあったらしく、ちょっと詳しく寄った酒場にでも聞こうかと」


そういうと、少し苦い顔を聞いていた男とマスターは揃えて

する。


「そりゃあ、災難だったな、、、あの国は消滅したんだよ。」


なるほど、情報は書き換えられ、災害といった口実で滅んだことになっているのか

恐らく、他の国もこんな感じなんだろう。まさか王子が滅ぼしたとは

放送できないか。。。


「それにしても、そのニュースだっら誰でも知ってるぞ?

それに、スベラル王国に用か。まさかあんた貴族か?」


「え?ええそうですよ。」


ひとまず、この場にふさわしくない上品な服や身なりから

地位の高いものだとはばれているだろうから貴族ぐらいにの方が

変に怪しまれないかもしれないな。


「まじか?!こんなしっかりしたまともな奴が貴族?!

まだ貴族にこんなまともな奴がいたんだな。。。」


「まとも?」


その声を聴いた酒を飲んでいた横の甲冑を着た男が

突然しゃべりだす。


「そうさ!民から税金を根こそぎ奪うやつ。へんな

趣味を持っやつ。人間をごみのようにしか思っていなやつ

ろくなのがいねえよ!!来てればあんたほんとに貴族か??

こんな上品なしゃべり方をする貴族は初めて見たぞ?」


うんうんとそこらじゅうで相槌を打っている。


かなり不満が溜まっているらしい。拳をテーブルに叩き付けながら

泣いている男もいた。


まさか、貴族という存在がここまで腐ってしまっているとは思わなかった。

あの一部の人間だけかと思っていたが。まともな貴族は少数派らしい


「そうなんですね、、、じゃあお詫びといっては何ですが、

ここにいる皆さんに一杯おごりますよ」


「「「「え。。。」」」」


「ああは言ったが、別にあんたは関係ないんだからそんなのしなくていいんだぜ?」


「そうだよ、にーちゃん。あんたみたいな貴族もいるんだって、少し嬉しかったりもしてるんだぜ?」


「いえ、でも今は何だかおごりたい気分なんですよ。いいですか?マスター。」


「別にいいが、ここには50人近くいるじゃよ?」


「はい、お願いします。」


ラキスはこのとき何を思っていたかはわからないがとにかくこういうことを

したいと思ったのは確かだ。


「まあ、ニーちゃんがそういってんだ。おごられようか。マスター。一杯くれよ。」


「あいよ。」


そういって、酒を一杯。飲むとどこかへ行ってしまった。

それを機に、一斉に立ち上がり酒をおごられようとカウンターに駆け込む。


さっき、最初に声をかけた男が、申し訳なさそうに訪ねてくる。


「なんかすまえねえな、、かなりの金額になるだろ、、、」


「いいですよ、人におごるのは嫌いじゃないんでむしろ、すきなんですよおごるの

どうです?貴方も一杯。」


数分たち、皆が酒をもらったのを見計らって、マスターに酒の代金を払う。


「マスター、これで足りますか?」


そういってラキスが出したのは一枚の銀貨だった。


「さすがにこれは大きすぎるぞ。これだけ飲んどるがおつりが出るほどじゃよ。」


「じゃあ、マスターにも一杯ってことでそれと、宿を貸してほしんだけど

いいかな?」


マスターの老人はここまで気持ちのいい笑顔をする人間がまだ貴族にいや

今の世の中にいるのだと、感心しながら。かまわんよと言って

一杯自分でつぎ、飲む。


ありがとうございますと一言いうと、そのまま誰にも気づかれず

二階へと昇る。


その時、店員である女性たちは、顔を赤くしながらラキスの容姿を

脳にこびりつかせていたとか。。。


ラキスがいなくなったのに気づいた男は、マスターに話しかける。


「あんな奴が、貴族なんてびっくりだな。マスター」


マスターは少し、間をあけながら「そうですね。びっくりです。」と答え

そのまま黙った。


ラキスは言われた、部屋に行くとなかなか広く。

良い宿屋だと確信しながら、窓を見て少し落ち込んだ。


「貴族ですか・・・・」


**


とある城の王室にて。。。


「駄目ね。まず私より弱い時点で護衛なんて意味ないでしょ!」


高貴そうなドレスを纏った、美しい女性は本人がいる前で

執事と思しき、男に怒鳴る。


ワインを片手にグラスをゆっくりと回しながら、ため息をつく。


「もういいわ、そいつらを早くこの部屋から出してちょうだい。」


そういって手で軽く払うように振るとそっぽを向いてしまった。


「か、かしこまりました。。。では、すみませんが退場して頂いて

宜しいでしょうか?」


屈強そうな男たちは、我慢の頂点に達したのか、どなりながら

女に近づく。


ここにいる男たちは、冒険者とよばれている職業で

その中でも、そこそこ名の知れたメンバーだった。


「おいおい聞いてたらよお、遠くの国からわざわざ来たって

いうのに、部屋に入ってそうそう、くずよばりとは納得いかねえな。

それによう、俺たちがあんたより弱い????いくら地位が高いからって

なめすぎなんじゃねえのかよ。。」


言い終わると女のすぐ後ろにまで進んでいた。


「おいこっち向けよ!」


男が女に触れようした瞬間、男の腕が一瞬で消える。


「____え?う、ウあああああァァァァァア?!?!!」


男は自分の腕がないことに気付くと、発狂しながら血をぶちまける


「私、汚い人は嫌いですわ。ましてはそんな汚物の血なんて。。。」


女性は執事に顔を拭かせると、次の瞬間。


倒れ悶えている男の心臓を高いヒールで潰す。


「「「!!!!」」」


「何をしてるんです?出ていかないのでしたら、全員殺しますよ?」



ゴクリと、誰かが唾を飲み込むと。

ゆっくりと、ドアをでてぞろぞろと帰っていく。


彼女は詰まらそうに、月を眺めながらワインを一口飲む。


執事は先ほど死んだ、冒険者がA級犯罪者だったことを知っていて

殺したのか少し疑問に思っていたが、今は主がどうしたら

満足するのか、必死で考える。それでふと、いつか見た

主が目を輝かせてみていた、映像を思い出す。


「あの人物なら、あるいは。。。」



執事はこれしかないと考えをまとめ、主に耳打ちする。


「お嬢様、こういうのではどうでしょうか?」


聞き終わると、少し口角が上がったような気もしたが

次の瞬間には、何か問題点が見つかったのか、

人を馬鹿にしたような薄笑いで、答える。


「でも、かれは元王族なのよ?金では釣られないわ。」


「いえ、元王族だからこそ、今お金を必要としているかもしれません

それに、もしかしたら気に入る人間が出てくるかもしれませんよ?」



女性は少し考え、得心のいかないような顔だが「まあ。いいわ。そうね1週間後には

には開けるようにしなさい」というとベットに寝転がった。


「了解しました」そういうと執事は下がっていった。


***


「はあわぁ~そうか宿に泊まったんだった。」


なんだか、久しぶりによく寝た気がいたがゆっくりと

立ち上がりベットから降りる。そして身支度をしながら

あの子に選んでもらった服を着ると階段を下りる。


そこには宿に泊まった、人たちが朝食を食べていた。


ひとまずカウンターについて、近くにいる店員に声をかける。


「すみません。オススメとかってありますか?」


店員は声を掛けられたのに気付くとゆっくりとラキスの方を向くが

何処かそっぽを向いている。


「お、お勧めですか?それですとマスターのお好みサンドイッチが

オススメです・・・」


「・・・あ、あのなんで顔を私の方に向けないんですか?」


「すみません、大変申し訳ないんですけど直視できなくて・・」


なんだそれ、とラキスは思ったが口には出さずにこやかに対応する。


「あ、じゃあそのオススメを頂けますか?」「はい。かしこまりました。」


反応がめんどくさいなと、少し感じながらもサンドを待つ。


待っていると、大急ぎで誰かが店のドアを開け、飛び込んでくる。


「大変だ!!1週間後隣国のベラセィール国で大会があるらしい。

それも優勝者は金貨100枚!ルール簡単、一番強いやつが優勝!

この情報を早く広めてくれ!」


そういうとすぐに、店を出ていき、他の店へと走っていった。


「お、おれちょっと行ってくるわ!!」


そういって興奮気味の男は店を出ていった。


ちょうど、マスターがサンドイッチを持ってきてくれたので

ついでに今の事について質問しておく。


「おはようございます。ベラシィ―ル国について少し聞いていいですか?」


マスターは少し眉毛をまた片方あげながら、再びしゃべりだす。


「おはようさん。昨日のことを聞いてもまだ私に情報という物を聞いてくるかね」


数人が手を止める。恐らく、今手を止めた数名がマスターに雇われた

冒険者か衛兵だろう。それは昨日の酒をもらうときの様子でなんとなく

確認済みだ。


だが、ラキスはサンドイッチを食べながら、できるだけ自然体で返す。


「世間話ぐらいの質問ですよ、いいですか?」


マスターもまあ別にいいかといった感じで、手をゆっくり下げると

男たちが動き出す。


「で?何が聞きたいんじゃい?」


「そうですね、この国って基本的にどんな国なんですか?」


「簡単にいうと、多くの人間が物を買ったり売ったりする

貿易関係で栄えてる国だな。方角的にここから西だな3日もあればすぐにつく。」


咳ばらいを二回した後、再びしゃべりだす。


「まあ、さっきの大会だが優勝賞金は見どころだが、

それだけが集まるだろうな。見たところ戦闘は出来そうにないが、

腕に自信があるんだったら試してみてはどうかね?」


ラキスは少し、目に悲しい影がよぎったがマスターに気付かれないように

直ぐに顔に喜色を浮かべるとすぐにたちあがる。


「そうですね、やることもないので行ってみます。

情報ありがとうございますね。また、会えたらいいですね、では!」


そういうとラキスは店を飛び出し、走ってこの町から離れた。


マスターは少し舌打ちすると、ラキスのテーブルに

サンドイッチ代があるのを確認しながら、それを投げつけ

男たちに合図をすると一斉に店を飛び出し、ラキスが

向かった方向へと走り出す。


「まだ、そう遠くには行っていないはずだ、探して

金品を盗むまで買ってこなくていい!」


***


(完全にあのままいたら、面倒だったな、、、)


ラキスはやはり貴族というのは憎まれているんだなと

確信しながら、教えてもらった道を進んでいた。


念のため、ちゃんと他でも聞いてから言ったので間違った情報は

言っていなかったらしい。だがそれより、貴族があれということは

王族関係はもっと憎まれているのだろうか。。。


国の象徴や指導者として、そのようなことは決して起こっては聞けないのだが

あんなことをした人間がいえないなと、自分の立場を理解する。

気付くと、後方から速い速度で何かが来ているのが分かった。


「意外と早いな、、、」


追手は来るだろうと思っていたが、結構早い。

それに複数いるとみる。


数分後、想像していたより多い人数がラキスを取り囲んでいる。


真ん中にいた、リーダーのような男が前に出ると

ラキスに剣を突きつける。


「あんたには悪いが、こっちも仕事なんだ。金品を置いていくんだったら

命だけは許してやるよ。」


嘘だ。確実にこいつらは金品を置いた瞬間。殺しに来る。


だがあえてラキスはひどく怯えながら

必死に命欲しさに承諾すると、リーダー各の男に金品を渡していく。


周りにいるやつが、ケタケタ笑うのをこらえていると、最後に

手に付けている手袋と剣だけになった。


「ほら、早くそれも渡すんだ。」


ラキスはにこやかに顔を抑えると、笑いだす。


「はい、どうぞ。」


その眼は怪しく光りだし、さっきまでの様子が嘘だったかのように、

表情を変えると、そのまま言葉と同時に男の喉に剣を突き刺す。


「「!!!!!」」


直ぐに、振り払うと簡単に男は二つに裂け、血を吹き出しながら

倒れる、突然の事に動揺したのか一瞬体を止めていた男たちは

次々と胴体から胴体へと一直線に切り殺しいく。


その間、ラキスの瞳は更に紫色に美しく光を灯し。

持っている剣はみるみる男たちの血を吸い。更に強靭な刃物へと

変わっていく。


ラキスは痛みに嘆く声や恐怖で歪んだ声の人間を見て、つい良心の方が

強くなってしまうが、この手袋をしているときは狂人であろうと

心に決め、また自分はまともじゃないと確信しながらも

今日未明、20人近くの男たちを殺し、逃亡した。











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