柔らかく、素直に揺れる女の子の心。春風に舞う花びらのように。

作者様の『桜月夜』シリーズのうち、『酔わされて』は樹先輩の視点で若々しい恋が綴らるのに対し、本作は樹の後輩である明るく可愛らしい女の子、咲の視点で綴られる物語です。

大学時代。次第に心も体も大人になっていく時期の女の子の、柔らかな心。微かな風にも揺れるようなその心の動きが、咲という明るく素直なキャラクターの個性に裏打ちされ、とても自然で可愛らしい初々しさを持って描き出されます。
憧れの先輩を眼の前にしながら、自分の好みではないはずの先輩へとどうしても動いてしまう咲の想い。頭ではどうにもならない恋心の複雑さ、悩ましさ。恋って、こんな風に甘くて苦い…そんな思いが、読み手の心にも瑞々しく蘇ります。

そして、美しい桜月夜の中、咲の想いの行き着く先は——。

若々しい恋心を堪能できる、柔らかな幸せに満ちた物語です。

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