第17首 グレープ君
第17首 グレープ君
ながめせる
ふるるとも
ゆかりしあれば
【現代語訳】
身の枯れ細りも続いて久しく
10月のこの長雨の中君を見つめて
物思いにふけるまま老衰してしまうとしても
いつかまたきっと君と巡り逢う時が来るだろう
紫色の縁で繋がっているのだから
【解説】
「減(かん)」:数量、目方などが減っていること。ここでは体重の減少。
「懐く(なつく)」:慣れ親しむ、馴染む。ここでは恒常化すること。
また「減懐き」は「神無月」(10月の旧名)との掛詞。
「ながめ」は掛詞で
①「長雨」:長く降り続く雨。ここでは秋の雨。
②「眺め」:ぼんやりと見ること。物思い。
「せる」:動詞「す」の未然形「せ」+存続の助動詞「り」の連体形「る」
「ふるる」:「古る」(年をとる、老いる)の連体形
「とも」:接続助詞で、逆接の仮定条件を表す。元は動詞の終止形に付いたが、中世以降は連体形にも付く。
「巡り合ふ(めぐりあふ)」:巡り巡って再び出会う。
「てむ」:完了(or確述)の助動詞「つ」の未然形「て」+推量の助動詞「む」の終止形。ここでは推量が強調され「きっと……だろう」の意。
「ゆかり」:関わり、繋がり、縁。慣例的に紫色と関連づけられることが多い。
「し」:強意の副助詞
「あれば」:動詞「あり」の已然形+原因・理由の接続助詞「ば」
けもの和歌 筐ヶ瀬 巻飴 @KATAMIGASE_Mai
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