センター試験のバス

 今日はセンター試験当日なので、学校に朝早く集合します。みんなでバスに乗って会場のひまわり大学までいくのです。

「はい。みんなー!今日はセンター試験ですよ。全員いますかー!」

「せんせー!たかしくんがいません。」

 大変だ。確かにたかしくんがいません。

「あ!そういえばたかしくん見ました!横断歩道で転んだおばあちゃんのこと助けてました!」

 たかこさんがいいました。

「えー!なら仕方ない!置いていきましょう!」

 ブー!!

 たかしくんを置いてバスは出発しました。

 わいわいわいわい!!わいわいわいわい!!

 みんな単語帳を見ています。

「そういえばたかこさん!どうしてたかこさんはお婆さんを助けるたかしくんの手伝いをしなかったの?」

「それはセンター試験だったからよ。」

「センター試験のバスに遅刻する奴はクズだ。けどな、仲間を見捨てる奴はそれ以上のクズだ。」

 先生が目の色を変えて言いました。

「運転手さん。センター試験のバスに遅刻する奴はクズだ。けどな、仲間を見捨てる奴はそれ以上のクズだ。」

「そうですか。」

 ブンブーン

 センター試験会場につきました。

 かっかっかっかっかっ


 センター試験が終わりました。


「うー終わったー!」「二次試験も頑張ろうね!」「とりあえず今日はお疲れー」

 ゾロゾロとバスに帰って行きます。そんななか、たかしくんが来ました。なんと歩いてやってきたのです。

「うわっ!たかしくんだ!」

「たかし!たかしー!!」


 けどたかしくん、センター試験は終わっています。


 落胆するたかしくんに先生が近寄りました。


「センター試験のバスに遅刻するなんてクズだ。」


「うぅ....。」


 たかしくんは肩をすくめました。


「けどな、仲間を見捨てる奴はそれ以上のくずだ。」


 先生は強く言いました。


 完

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鮭さんのショートショート(とても面白い) 鮭さん @sakesan

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