みんな大好き妹ラブコメ
「今日からこの人がお前の母さんだ。」
目の前で深々と頭を下げる20代後半のセミロングの女性(天然系美人)を目の前に
学校から帰った中学生の俺はただ「どもっす」としか言えずにいた。
「おいお前、もう少し挨拶は丁寧にしろ。すみませんね。」
親父が女の前だからって妙に優しい口調で注意をするのが笑える。
「突然の話ですものね。ほら、あなたもお兄ちゃんにご挨拶なさい。」
女性の後ろに隠れていた幼女が顔だけだして、もじもじしながら絞り出すような小さな声で、「こんにちは」と俺に挨拶した。
それが、俺と妹との出会いだった。
俺と妹は血の繋がっていない兄弟だ。
一緒に暮らし始めて2年が経ち、俺は高校に進学した。
最近、妹の様子がちょっとおかしいので皆聞いてほしい。
俺は朝が弱く、妹が毎日起こしに来る。その時の話だ。
眠い目を擦りながら見ると、妹(ロリ美少女)が俺の上に馬乗りになりながら覆いかぶさってくるのが見えた。
俺は見なかったことにしてまた目を閉じた。
「もー!お兄ちゃんったらぁ。新学期早々遅刻していいの?ほら起きて!」
と言いながら妹は赤面しながら俺の上でもじもじと腰をくねらせている。
「どうした?」
「何か硬いのが当たってるんだけど…///」
「えっ?」
「バカ!エッチ!もう知らない!!」
妹は俺の頭の下から枕を抜き取り、投げつけながら部屋を出て行った。
寝起きは血流がよくなっているから仕方ない、健全な男子高校生の証拠なのだ。
そろそろ妹も多感な年頃だから、俺を起こしにくるのも嫌だろうと思い
やんわりと起こしに来なくてもいいと言ったのだが、一向に直る気配がなく
寧ろエスカレートする一方だ。
この間はパジャマ姿で俺の布団に潜り込んできたからなぁ…。
そろそろ妹も、年頃の女子の自覚をもって欲しいものだ。
と、そんなことはもう過ぎたことなので別にどうでもいい。俺にはもっと困った問題ができた。両親が町内会の福引で1泊2日の温泉旅行を当てたらしく、今夜は妹と2人きりということだ。炊事洗濯といった家事はまったく問題ないのだが、間が持たない!俺は憂鬱な気持ちを抱えながら帰宅した。
夕食の買い出しに行き、馴染みの肉屋でおまけして貰ったコロッケをぱくつきながら兄妹で家路を歩く。
「お兄ちゃん、今日は二人きりだね。今日、実はすっごく楽しみにしてたんだ。」
夕日を浴びながらそう言って俯いた妹の横顔は、いつもより大人びて見えた。
不覚にも俺はどきどきしてしまった。何やってんだ、相手は妹だぞ!俺。
夕食は肉屋でおまけして貰った豚肉でシンプルに生姜焼きにした。
ご飯が進む鉄板メニューだ。
「お兄ちゃん、口の端についてる。」
妹はそう言うと、俺の口についたご飯粒を唇で器用につまんでいった。
ほんの少しだけ、端っこだけだけど唇同士がが触れたのは俺の気のせいなのだろうか。そう考えると、俺は晩ご飯の味が急にわからなくなってしまった。
「一緒に、寝てもいい?」
風呂上がりの妹が上目遣いで俺を見てくる。彼女から仄かに香る女の子の匂いに一瞬我を忘れかけたが、親父の特熟コレクションを思い出してぐっと耐えた。
…ふぅ。おれは妹に見えないように長い溜息をついた。
まったく、勘弁してくれよ。
俺の眠れない夜はまだ始まったばかりだ。
苦手なジャンルに挑戦 @yu_3122
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。苦手なジャンルに挑戦の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます