第10話 キマちゃんと左2

前話に続き「左」な話。


左利きが自慢のキマちゃん。


姉たちが小学校に上がってからは

小学生への憧れからよく「学校ごっこ」をして遊んだ。



場所は大抵キマちゃんのお家。


簡単な計算問題なんかを解いたり

お互いの名前を書く練習をしたりと

内容はかわいいものだった。



(もちろんキマちゃんは先生役)




「左利き天才」説(根拠なき私の母談)が出てからは

キマちゃんオリジナルルールで

字や絵を書いたり、おやつタイムのスプーンも

全て左手を使うことが定められた。



字が汚い、下手くそと笑われた。

プリンをこぼして汚いと笑われた。

右手でさせてと頼んでも



「キマちゃんが先生やから!」



の一点張り。

これはこの先キマちゃんが飽きるまで続く。

そう確信した私は家に帰ってからも練習した。

悔しいもんね。単純に。




いくらキマちゃんに虐げられることに慣れていても


腹が立たない訳ではない。



左手も練習すれば歩みは遅いがちゃんと上達する。

負けず嫌い。私もキマちゃんと似た部分があったのだろう。

それを態度に出さないだけで…


上達する私。

さらに難易度の高いお題を出すキマちゃん。

ハサミやボール投げ様々なことを左でやった。


そんな遊びを続けているうちに

私には「両利き」というスキルが身に着いた。


キマちゃん。ありがとう。

今だから言える。

しごいてくれてありがとう。


特技の一つとして、役に立ってます。。


(したことないけど、右手骨折しても大丈夫な気がしてる!)

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幼馴染のキマちゃん。 早乙女こあら @nabori

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