第6話(蛇足)

「――大王、あれで宜しかったのですか?」


「ん?」


「本来は共に一万年程、刑に服した後来世に渡るものを……」


「構わぬ。我々は罪業を正確に測り、その魂を浄化する為の『最も適した』刑罰へ

導くのが仕事。

 特殊な事例には特殊な方法で行うべきだ。その為の最後の『間』なのだから」


 大王は椅子に深々と腰掛けると少し面白そうに、


「あの男、来世では妻を失い、一人きりで生きていく定め。

 その間は人を助けながら生きねばならぬが……はてさて、その役目を

全うした暁にはワシからささやかな祝いをしてやるかな?」


「天主様に怒られますよ?」


 副王の窘めに大王は豪快に笑うと、


「二人が『』であれば、天主様も笑ってお許しになるだろう」

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幸福な恋 うぃーど君 @samurai-busi

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