第14話 帰還

ご拝読ありがとうございますm(__)m


皆様更新期間が遅くなってしまいすいませんでした。


他の連載作品を書いてしまって。



そちらと筆がのった順にランダム更新していこうかなと思っています。


更新を楽しみにしてくださっている方、本当にいつもありがとうございます!!


不定期更新ですが、きちんと更新していきますので、これからもどうぞよろしくお願い致します!!

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「え? ここどこ……?!」



辺りを見渡すと、巫女装束に身を包む数人の女性たちが自分を凝視している事に気づく。場所はどうやら室内のようだと、安堵の息を漏らしていると、一人の少女が問いかけてきた。



「どうやら、召喚は成功のようですわね。」



『召喚』という言葉を聞き、すぐに事態を把握し、再度辺りを見渡すと不思議そうな目をしている男の姿が目に入る。



「コロさん……、成功………したんですか?」


「ええ、現に目の前にいらっしゃるではないですか?」


「………そうなんですが、この方はユキ……ではないです。」


「はい?!! では、一体………。」



そこに居たのは恵美だった。

『ユキ』という名前を聞き、すぐに間違って呼ばれたのだと気づき、辺りは一気に不穏な空気に包まれる。



わたくしは確かにユキさんの私物を媒体に用いた筈なのですが……」



言葉の通り、やつはしの上にはユキが使用していたと思われる携帯充電が置かれていた。こちらの世界には存在しないモノだということで、クラウスは間違いなくユキが召喚されるものだと思っていたようだった。



「えっと……、大変申し上げにくいんですけど……、その充電器私のです………。」


「え? これはユキが使っていたモノではないのか?!」


「いや、あの……、確かにユキがこっちに持ってきて使用してたのかもしれませんが、それ元々は私の私物なんですよね……。」



クラウスの問いになるべく丁寧に刺激しないような言葉を選び、説明した恵美だったが、心のどこかで異世界に来ているのだという恍惚感に満たされていた。


サツキ達を見てから、確かにどこかには『異世界』というモノが存在し得ているのだろうと漠然と思っていたのだが、実際自分が足を踏み入れてみると、まるで物語の中に自身が入り込んでしまったような錯覚を覚えてしまう。



「ココが異世界なのかぁ~、ユキはこの世界に居たんだー。」


「君、ユキを知っているの?!」



『ユキ』という名前に過剰反応を示したクラウスは恵美の肩を強く握り、激しく揺さぶり問いかける。



「知ってるも何も……さっきまで一緒に居ましたから……。」


「ユキは元気なんだね?!」


「はぁ。まぁ……、変態病が悪化傾向にありますが、至って元気ですよ。」



『良かった』とホッと息をつくクラウスの姿を見て、悪い人ではないのだろうなと判断した恵美はキョロキョロと辺りを見渡し始めた。



「どうかした?」


「いえ、サツキさんはいないのかなと思って。」



この言葉に一番反応を見せたのは、すぐ傍にいたクラウスではなくコロの方だった。



「紅鴉もこちらに戻って来ているのですか?!」



動揺した様子で勢いよく迫り来るコロに若干驚きながらも、先程見た光景の話をすると、下顎に指を当て数分悩んだ後、何も言わずにリン達を連れ儀式場を後にした。



「あの………、私はどうしたら?」



突然こちらの世界へ呼ばれたはいいものの、右も左も分からない恵美は内心戸惑いの色を滲ませていた。もちろんユキの友人でもある事から、クラウスは快く城へと恵美を案内し、寝食には一切の不自由はさせないと約束し、城内は好きに歩き回っていいと促し、恵美一人を残して部屋を去って行った。



「ユキが使っていた部屋って言ってたっけ? なら、多分……」



恵美は窓際に設置されている机の下へと手を伸ばし探し始める。

机の下にテープでしっかりと貼り付けられていた一冊のノートを無事取り出すと、フカフカのベッドへと大胆にダイヴし、ノートへと目を通す。



『サツキくん観察日記』



この題名はないわ。と呆れ顔でノートを読み進みていくと、ユキが体験したあらゆる事が事細かに記されていた。



「ほんと、あの子几帳面よね……」



ユキは昔から大事なモノは、大体ベッドの下か机の下に貼り付けている事実を知っていた幼馴染である恵美だからこそ見つけられたノートだと言っていい。


昔からよくくだらないモノを机の下に貼り付けて保管していたなと、昔の事を思い出し笑いしながら読み進めて行くと、先程の男性が誰なのかすぐに理解出来た。



「ふーん。クラウスっていうんだ。つか、え? 皇子様だったの……。あ、どうりで凄いお城なわけだわ……。王族なんて初めて生で見たわ……」



びっしりと書き記されていたノートの7割はただのストーカー記録だと言っていいモノで、恵美にとってはなんの利益にもならないモノばかりだったが、多少なりとも時間は潰すことが出来た。



「まずは、サツキさんを探さないとね……。どこに居るのかしら………。」




*****


「………………。」


「おぉ、サツキ帰って来たじゃん!!」



突如目の前に現れた男3人と少女1人。



「サツキ様、お帰りなさいませ。」



アキラは片膝をつき、深くこうべを垂れ、無事に帰還された事に喜びの笑みを零す。



「アキラ、召喚したのは俺だけか?」


「はい。何か問題がございましたか?」



サツキはミミルへと視線を移すと、少し大きく目を見開き驚きを見せるが、すぐにいつものクールな表情へと戻った。



「何故騎士塔の案内係がココに………?」



サツキの疑問にすぐ解答をアキラが伝えると、「へぇ」と一言だけ零し、ロウへと歩を詰める。



「おかえり、サツキ。」


「まさか呼び戻されるとはね。」


「なんだ? 帰還したくなかったのか? 向こうの世界に魅せられたのか?」


「いや………、そうじゃない。」



言葉を濁すサツキに違和感を覚えたロウは、興奮気味にサツキに尻尾を振る犬の如く付き従うアキラをその場に待機させ、サツキと共に部屋を出た。


言いずらそうな雰囲気を感じたロウなりの気遣いだったのだが、二人きりになっても一向に口を開こうとしないサツキ。これは向こうの世界で何かあったのは確実だと判断したロウは徐に口を開いた。



「サツキ、どうした? なんかあるなら言ってくれ。」


「あの受付してた子供は、アキラから巫女族だと説明を受けたが事実か?」


「あぁ、そうだが? それがどうかしたのか?」


「呼び戻したいヤツが二人いる。」


「どういうことだ?」


「詳細は後説明する。とにかくあの子供と話をさせてくれないか?」



珍しく真剣な眼差しで訴えて来るサツキの姿に、ロウはすぐにミミルを呼びに部屋へと戻る。前触れもなくロウに手首を掴まれ、有無も言わさずそのままの引きずれるようにして、サツキの待つ部屋の外へと向かった。



「おまたせ。」



再度受付の女を下から上へと流すように観察してから、まず最初の疑問をぶつけた。



「アルラという女を知っているか?」


「?! むしろなんでその名前を知ってるんスか?」



大きな瞳を更に広げ、二度と聞くことはないと思っていた名前に驚きを隠せないミミルの姿にサツキは納得した様子で視線を絡めた。



「そうか。知っているか。今向こう側に存在している。」


「生きてるんスか? アルラ様……生きてらっしゃるんスね……」



涙をたっぷりと瞳に溜め、その場に崩れるように座り込むと、大声で泣き始めるミミル。その声に釣られ、流石のゼンとアキラもチラりとドアを少し開け覗き見。


それもそのはずだ。

自分達は突然蚊帳の外状態で部屋にポツンと放置され、挙句には少女の泣き叫ぶような悲痛な声が響いたのだから、何かあったのかと好奇心を刺激されてもおかしくはない。



「ゼン、その覗き見の仕方はやめろ………」



まるで某番組の『家〇〇は見た』状態とは言っていい覗きスタイルに、ロウは眉を寄せ怪訝な様子を窺わせる。



「だってぇ、二人がかりでミミルたんを泣かせたんでしょ? これは軽蔑の目も含まれてるから!!」


「いや、イジメてないからね、別に。」



鼻水を垂らしながら未だ泣き止まないミミルを前にして、ロウとサツキはただ黙ってそれを見ているしかなかった。


村がなくなってしまってからは、『誰がなんのために村を破滅させたのか』その理由を知るために奮闘し生きてきた。もちろんサツキ達は色恋沙汰にうつつを抜かす暇などなかった。


要するにこういったシチュエーションの場合の対策方法をまるで持ち合わせていないのだった。しかも二人の性格が性格だ。ゼンは仕方ないなと言った様子で助け船を出した。



「ミミルたん、どうしたのかなぁ? 二人でなんか言われちゃったの? コイツら口と態度と性格は悪いけど、きっとミミルたんのためにと思ってやった事だと思うんだ。」



優しく背中を撫でながら、穏やかで暖かい口調を意識ながらゼンが慰めを入れると、グスリと大きく垂れる鼻水を吸いながらミミルは首を横に振る。



「違うんス。違うんスよ………」



必死に首を大振りし、否定するも泣き止む様子を一向に見せないミミルに、サツキは呆れた眼差しだけを向ける。



「それ、今じゃないとダメなわけ?」



何故説明よりも泣くことを優先しているのか、サツキには理由がまるで理解出来ず、わざとらしく視線を外した。



「サツキくんやぁ~、涙は理屈で出るものではない!! よって、ミミルたんの涙は仕方ないの!!」


「アイツらは気が狂う程の永久の時の中、こちらに還る手段を探し彷徨っている。ならば、それを少しでも短縮させれる手が存在しているのだから、優先すべきはガキの涙ではなくアイツらの召喚じゃないのか? このガキはいつでも泣けるだろ。」


「サツキさんの言う通りッスね………。グスッ。泣いてる場合じゃないッス! 召喚の準備を進めながらッスけど、発端の話から説明するッス。」



ミミルは大きく鼻水を啜り、乱雑に涙をふき取ると、何かを決意したように徐に口を開いていく。



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ご拝読頂きありがとうございました。

不定期更新で本当にすいません。


それでも地味に更新はしていくので、目にしていただけると幸いです。

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残月夜の誘惑 霧生神威 @kamui_kiryu

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