第4話

 なつあついちにちでした。

 あおそらには、しろくもすずしそうにかんでいます。

 さきちゃんは、さくらえるえんがわで、あしをぶらぶらさせながらすわり、ごんぺいおじいさんのはたけかられたうりべていました。

 とおくから、ジープのはしってくるおとこえてきます。

 へいたいさんたちが、やってたのでしょう。

 おさまは、けるようなしをずいぶんたかいところからりつけています

 ごんぺいおじいさんは、ラジオのスイッチをれてチャンネルのつまみを調ちょうせいしていましたが、ジープがにわまったおとくと、えんがわてきました。

 けいはりは、じゅうになろうとしていました。

 ジープからは、昨日きのうさんにんへいたいさんが、りてきます。

 さきちゃんは、おにわりると、さんにんへいたいさんのところにやってて、こういました。

 「へいたいさん、たの」

 たいちょうさんは、チラッとさきちゃんをましたが、すぐになくこうってソッポきました。

 「そうかい」

 そして、

 「ホラ、はやってしまえ」

 さきちゃんは、いっしゅんたいちょうさんがなんてったかかいませんでしたが、わかったしゅんかんおおきなこえしました。

 「っちゃダメェ! どうして? どうしてるの? ちゃんとたってったのにぃ!」

 そのごえは、おにわてきたごんぺいおじいさんだけじゃなく、おうちなかでぐっすりねむっていたてっぺいくんとりょうすけくんにも聞こえてきました。

 さきちゃんのごえきたてっぺいくんとりょうすけくんは、いそいでズボンだけをはくと、ランニングのシャツだけでおにわしてきました。

 そこには、すわんでおんおんいているさきちゃんと、おのったへいたいさんとわかへいたいさん、それにたいちょうさんがっていました。

 りょうすけくんは、おのげたへいたいさんにかって、さけびながらはしってきます。

 てっぺいくんは、となりってるごんぺいおじいさんをげます。

 「おじいちゃん!」

 ごんぺいおじいさんは、なにってはくれません。

 「やめろーっ!」

 りょうすけくんは、昨日きのうのようにたいたりをしようとおもっていました。

 しかし、今日きょう昨日きのうちがいます。

 わかへいたいさんが、りょうすけくんのまえちはだかって、りょうすけくんをかせてくれません。

 「たいちょうさん!」

 いままさおのろされようとしたそのときごんぺいおじいさんが、とってもおおきなこえいました。

 へいたいさんが、おもわずおのめてしまうほどつよく、おおきなこえでした。

 「そのさくらは、ています。ているというのにどうしてろうとするのか、ちゃんとせつめいしていただきたい」

 おのったへいたいさんも、りょうすけくんのまえちはだかったわかへいたいさんも、たいちょうさんのかおつめます。

 たいちょうさんは、ひょうじょうえずにこういました。

 「なるほどているかもれない。しかし、ていない。わたしは、ていれば、るのをやめようとったのだ」

 ごんぺいおじいさんはなにえません。

 たいちょうさんは、おのったへいたいさんにめいれいします。

 「どうした。はやってしまえ。もうすぐてんのうへいのおことがあるんださっさとませてしまえ。ほかにもらなければいけないが、たくさんあるんだ」

 そうって、うでけいました。

 けいはりは、ほうそうまでもうふんとないことをしめしていました。

 「あぁ、かんだ…かたがない、るのはてんのうへいのおことあとだ。じいさん、ラジオをってこい」

 ごんぺいおじいさんは、われるままにおうちなかからラジオをってきました。

 えんがわかれたラジオのまえに、へいたいさんたちは、きをつけの姿せいならんでちました。

 ごんぺいおじいさんとさんにんどもたちは、へいたいさんたちのうしろで、へいたいさんにならってきをつけをします。

 やがて、てんのうへいのおことはじまりました。

 それは、てんのうへいほんにんのおこえで『せんそうわりました』とうおはなしでした。

 にっぽんが、せんそうけたことをらせるおはなしだったのです。

 『がたきをえ、しのがたきをしのび…』

 てっぺいくんたちのみみにいつまでものこったことです。

 へいたいさんたちはしました。

 てっぺいくんやさきちゃんやりょうすけくんのようなみだながし、こえげてきました。

 ごんぺいおじいさんもしずかに、ラジオをつめながらなみだながしていました。

 その姿すがたは、てっぺいくんのおくなみだんだかたちで、いつまでもいつまでものこりました。



 てっぺいおじいさんは、ゆうくんのおなかのあたりをかるくたたきながら、はなしていました。

 「このてんのうへいぎょくおんほうそうっていうんだけど…で、あのさくらは、たすかったんだよ。しょうてんのうたすけてもらったさくらは、つぎとしからまいとしまいとし、おじいちゃんたちのために、たっくさんのきれいなはないてくれるようになったんだよ」

 はなわっててっぺいおじいさんが、ゆうくんを見るとゆうくんは、ちいさないきをたててねむっていました。

 てっぺいおじいさんは、ゆうくんににっこりほほみかけると、そっとえんがわてきました。

 そして、さくらつめます。

 てっぺいおじいさんは、わすれません。

 せんそうおわわったよくとしはるさくらはないっしょにくれたことを。

 さんにんの、ちいさなちいさなおしゃさんのこころなかに、ちょくせつはなしかけてくれたあたたかいことを。


 『かんびょうしてくれてありがとう。へいたいさんからまもってくれてありがとう。おれいにきれいなおはなをプレゼントしてあげよう。きれいなきれいな、さくらはなを……』

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咲くんだもん 結城慎二 @hTony

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