2
「あらゆる物を燃やし尽くせ……炎よ!」
俺の授業を完全に無視した男子生徒が突然狂気に満ちた言葉を叫び出す。
生徒が握り締めている杖からは、海外輸入された果実よりも煌々としたオレンジ色の光が迸った。
隣に座っていた女子生徒の顔面を覆い尽くすと、杖の輝きは失われた。
俺は溜息を三度吐くと、男子生徒を注意した。
「授業中にRFPSをやるのは止めましょーという先生との約束を、どうしてそうすんなり破れるのかな? 仲井君」
仲井と俺が呼んだ男子生徒は、背中に括った杖の鞘に武器を納めると、屈託の無い笑顔でこう言った。
「RFPSじゃないよ。魔法王国ウィッチランド。俺、こう見えても無課金ユーザーだぜ?」
「ゲームのタイトルとか、仲井の金銭感覚とか聞いてないから。今は授業中だから、授業と向き合おう。な?」
「え~、でも今大量レアアイテム確率変動中だし……」
俺と仲井の会話を遮るように、今度は女子生徒が突然立ち上がる。
「全てを覆え、凍てつかせ、吹雪よ!」
女子生徒が持つ杖は教室内の照明を暗転させ、黒雲を生み、仲井の周りを真っ白に染めた。
プロジェクション・マジック 悶太 @monta190
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。プロジェクション・マジックの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます