結び

 これは後書きのような位置づけだ。このようなものを書くことになるなら前書きを書いておけばよかったと反省する。しかし、随筆を書いてみて感じた読者諸氏への感謝を述べずにこのシリーズを終わらせるわけにはいかないと思い、結びとして投稿する。

 事の始まりは寺田寅彦先生の随筆である。明治に生まれ昭和初期に亡くなり、旧帝国大学で教鞭をとっていた人物だ。彼の随筆はとにかく惹きこまれる何かがある。美しい文体か、多彩な語彙か。私が随筆を書くにあたって多大な影響を受けていることは言うまでもない。もちろん随筆集を見返す毎に「まだまだだなァ」と頭を搔く。

 とにかく立脚点はそういう単純な”好き”であった。そして書こうと思い立った当初は今より稚拙で、読者という存在への意識が低かったことも思い出される。もっとひどいことに、殆どのエピソードは構成、制作、推敲などの段階を踏んでいない。一発書に誤字脱字だけをチェックして上げていた。

 書くということに慣れてきたところで、クオリティを高めたいと思うようになる。読み応えがあるよう構成を考え、実際に書いて推敲までをして出来上がったのが「あなたとわたし」だ。力を入れていただけに、その他のエピソードより応援が多くついたことに感動したことは言うまでもない。

 とにかく痛感したことは、読んでくれる人があって初めて作品は存在するということでる。さらにいうなら読んでくれる人なしには紫藤文彦という人格すら存在しないのだ。好きの反対は無関心とはよく言ったもので、承認欲求の云々抜きに無関心とは死に等しい。読んでくれる全ての方が支えになって紫藤文彦は存在する。習作といえるこの作品群を読んできて頂いた画面越しの貴方に心からの感謝を。

 書くことは楽しいのでこれからも書き続けたいと思っている。「あなたとわたし」を習作群の集大成として読者諸氏に提出し、これからはより質を上げ、読者諸氏により楽しんでいただける執筆をしていきたい。

 この「結び」をもって『随筆もしくはエッセイ』を完成とする。この完成は長い道のりにある一つのチェックポイントであって過程に過ぎない。今後もお付き合いいただければ幸いだ。ぜひ、これからもよろしくお願いしたい。

 最後になるが重ねて御礼申し上げる、本当にありがとう。


紫藤文彦

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随筆もしくはエッセイ 紫喜 圭 @saito_bat

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