Last refrain, and to be continued

 週が明け、中間試験が始まった。僕はキミとの勉強の成果せいかもあり、かなり手ごたえのある出来だった。

 試験最終日。テストは午前中までで終わり、校舎内は陰鬱いんうつとするイベントから開放された反動からかいつもよりにぎやかに感じた。

「ねえ、アヤ。今からウチに来ない?」

「うん。いいよ」

 キミは二つ返事で了承りょうしょうし、僕達はまだ陽が高い帰り道を手を繋いで僕の家に向かう。

 家に着くと、玄関で母は予想外の訪問者にうろたえ、「そ、そうだ。ケーキ買ってこなくっちゃ」と、急いで家を飛び出していった。意図いとせずキミの誕生日にケーキを出すことができ、僕は嬉しかった。

 家の中に僕とキミは二人だけ取り残され、とりあえず僕は自分の部屋にキミを案内する。キミは、「男の子の部屋って感じだけど、意外と片付いてるんだね」と笑っていて、僕はベッドの上に腰掛けるようキミをうながした。

 そして、キミがベッドに座ったまま部屋の中を見回している間に、僕は机の引き出しからプレゼントを取り出す。

 僕はキミの名前を呼び、振り向いたキミに、

「アヤ、誕生日おめでとう」

と、プレゼントを差し出す。キミは驚いた顔をしていたが笑顔に変わっていき、

「ありがとう」

と、言いながら受け取る。

「開けていい?」

「もちろん。どうぞ」

 キミはラッピングをやぶらないように丁寧ていねい開封かいふうしていき、ケースのふたを開ける。ネックレスを手にキミは目を輝かせ、感嘆かんたんの声を上げる。そして、薄っすらと涙を浮かべながら嬉しそうな笑顔を僕の方に向ける。

「本当にありがとう。大事にするね」

 僕はキミの反応が嬉しくて、胸の奥が満たされすぎて締め付けられる。キミの顔を真っ直ぐに見たいのにどうしようもなく照れてしまう。素直になりきれない僕は横目でキミを見ながら、

「前から思ってたけど、アヤって泣き虫だよね?」

と、照れ隠しからキミをからかうような言葉を口にする。

「そうかもだけど……嬉しくて泣くのはいいじゃん」

と、キミは笑い、めていた涙がすっと流れる。僕はその涙をいつかのように指で優しく拭い、そのままキミの顔に自分の顔を近づける。

 キミはゆっくりと目を閉じ、頬を赤らめ顔を少し上げる。



 そして、僕とキミが初めてキスをするまで、あと――――。

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15センチメートル・リフレイン たれねこ @tareneko

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