あまりに圧倒的な結末……!

この物語は、ひたすらに読み手の不安をあおる。
時にシンプルに、ときに搦め手で、トキには現実感すら危うくさせて。
そして、その不安の極致で、私たちは迷子になる。
それまで手を引いてくれていた導き手が、さっと消え失せてしまうのだ。
しかして、私たちは不安の絶頂で、物語の極限へと辿り着く。
赤い、赤い色彩のはてで、彼が誰であるか、自分が誰であるかすら、わからなくなって。
この惑乱、筆舌に尽くしがたし!
お見事!!