第2話 本気で生きようとは思ってない。

PM9:00


ピロン


「ん・・・寝てた?」

スマートフォンの通知で目が覚めた俺は真っ暗の音楽室の中にいた。

いつからか記憶はないが、机に突っ伏して寝ていた。


「あ、やべ」

レポートの上には涎が染み込んでいる。


―カーテンの隙間から隣の体育館の光が漏れて自分の手元が照らされている。

文学を疎かにしていた自分への罰だろうか・・・。

卒業研究という名の作曲に追われていた俺は、大事な就職活動も中途半端でアルバイトを続けていた。

さらにはレポート作成を忘れ、『夏休み』にも関わらず教授に呼び出され

徹夜でほぼ泊まり込みの状態で学校に居残りをしていた。


情けないね。


手元にあったスマートフォンを覗くと、もう時刻は9時を過ぎていた。


通知を見ると彼女とバイト先から着信が1件あった。


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