終焉

「すまなかった・・・」

刀を腹部に向けながら桃太郎はお供に向かって言った。

「鬼退治は私が背負った使命。私だけで行うべきだったのだ。」

「そ、そのようなこと・・・」

「今まで数え切れないほどの鬼を殺してきた・・・しかしきゃっつらは殺しても殺しても湧いてでてくる・・・お前達も気づいているであろう・・・同じ鬼と何度も戦っていることを!きゃっつらは確かに私に殺されている・・・しかし、その霊は地獄に堕ち、再びこの世に再生しているのだ。」

「・・・・・・」

「私は人間ではない。桃から産まれた桃太郎はただの罪人なのだ。鬼殺しは罪を贖う為に課せられた使命。私は・・・堕とされたのだ。」

一際、目も開けられないほどの強い風が四人に降りかかった。

まるで、天の怒りのように・・・。

桃太郎は灰色の空を仰いだ。

恐ろしいほど高い空だった。

「私はまだ・・・堕ちなければならないのか・・・」

掠れた声で桃太郎は呟いた。

刀を強く握った。

膝を曲げ、力を込める。

お供三人が止めようと駆け寄る前に、刀が桃太郎を貫いていた。

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鬼ヶ島 杉本アトランティス @novelatrantis

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