つい先日読了させていただきました。
結論から言うととても好きな小説でした。
他の方がもうレビューで自分の言いたいことはだいたいおっしゃってくれているのですが。
世界の描写がとても魅力的です。豊かな黄金色のフィルター越しに見たような"ボルドウ領"、現代の街並みとレンガ作りとのコントラストが映える"ロンディヌス"。そして蠢く怪異。
水平線の向こう、どこかにあるかも、あって欲しいなと思う舞台が設えてあるのでとても楽しい!
また伝奇ものとして読むと、王道で気持ちの良い展開に頷くこと請け合いです。「これこれ、こういうのが読みたかったんだよ」。
百合要素・キャラクター要素はポップ調に寄せてあり好みが分かれるかもと思います。ただし意図して寄せているのだと、読み進めるうちに判明してきます。どういうことかと興味を持たれた方・百合伝奇ものをお探しの方はぜひご一読を。
悪魔と百合って相性いいよね! わかる~!
悪魔憑きの女領主・ロアと、悪魔祓いの女中・マリアのバトルファンタジー百合。
百合ジャンルでファンタジーやバトルというのはまだまだ少ない印象ですので、作品があることだけでもありがたい。しかも、この小説の面白さは本物。
ストーリーは王道のエンターテイメントという印象。
読んでいて引っかかる部分もなく、ストーリーも素直で安心して読んで楽しめます。
深い因果で結ばれながらも、どこか距離のある関係にもどかしくなりつつ。
領主と女中、使い魔(悪魔憑き)とその主(悪魔祓い)という逆転した上下関係が同時に存在しているのも面白いところです。
わたしはそれらをまったりと楽しみながら、キャラクターの可愛さや愉快さに身をゆだねておりました……4章までは。
熱い展開が始まるのは5章から。
2人が巷を騒がせていた「吸血鬼事件」の捜査に乗り出すことから、2人の関係は変化のときを迎えます。新たなキャラクターも登場し、舞台も彼女の領地から首都へと変わりました。
歪んだ感情は毒をまき散らし、やがてロアたちの果敢な捜査によって明らかになる「吸血鬼事件」の全貌。
クライマックスで、ついにその犯人とあいまみえるロア。マリア逃がし、孤軍奮闘の末、ついに倒れてしまいます。
ロアを想うマリアと、マリアを想うロア。
最期の瞬間に、すれ違い続けた2人がどのような選択をするのか。
それはぜひ、あなたの目でお確かめください。
わたしはこの小説が――百合としても美味であり、バトルとしても熱く、ファンタジーとしても大満足のクオリティであると胸を張ってお伝えいたします。
なお、前回レビューされていた方と同じくわたしも2人の関係の尊さと百合のパワーに心臓を撃ち抜かれ、四十九日を迎える前に成仏してしまったことは言うまでもありません。
死が2人を別つまで、ロアとマリアが一緒にいられますように。
タイトルとキャッチコピーの通りのお話です。悪魔憑きの女領主と悪魔祓いの女中さんが、時に共闘し時に心通わせ時にすれ違う百合。
ああもうこの時点で分かりますね、尊い。
お話の緩急がうまく、ほのぼの寄りだった二人の関係や巷を賑わせる「吸血鬼事件」が終盤で大きく動き出します。中盤まででロア様とマリアちゃんのやり取りに心奪われていると終盤の展開で感情が動かされすぎて為すすべなく死にます。すっごく尊い。
意外とヘタレなご主人様や色々やきもきすることの多いメイドさん、百合厨はこういうの大好きです(主語が大きい)
また世界観やサブキャラクターも魅力的で、現代寄りな居心地のいい西洋描写は個人的にとても好きです。この国に旅行に行きたい。
そしてサブキャラクターが結構多いのですが、誰も彼もいい味出しているので混同することがありません。すごい。
さあ君も女領主と女中さんの付かず離れずだけど触れられないもどかしさの百合を楽しもう!そしてそのまま女領主とその女中Vacances!を読もう!!あまりの尊さに私は四十九日迎える前に成仏したぞ!!