帰省。さりげない家族団欒に幸福感。私小説風味の物語。
フレンチトーストを題材に、こんなにも心温まるこんなにも美味しいお話が拝見できるなんて...一つ一つの情景や物に対する描写がとても丁寧で、ノスタルジックなストーリーも魅力的です。そして何よりも、読んでいて、とてもほっこりしました。何度も読みたくなる、素敵なお話をありがとうございます。
特別の日、のフレンチトーストの匂い。忙しかった母が作ってくれたそれを、今度は自分が作る立場に。 懐かしいあったかい時間。 素敵なお話でした。
作品を読んでいると、どこからかとても良い香りがしてくるようです。トーストが焼ける香ばしい匂いではなく、少し甘く感じる独特の香り。読んでいただければ、きっとあなたも……。味は受け継がれるものであり、変わっていくものでもある。同じ味を受け継いで行かなければならないと思うし、自分の味へとアレンジしていかなければならない。そうやって、受け継ぐからこそ美味しくなる。とても素敵(美味しそう)な作品です。皆様もご一読あれ。お薦めします。
「美味しい話」、もちろんフレンチトーストはとても美味しそうなのです。でも行間からあふれる子を想う親の温かな気持ちが、とても素敵なのです。ところが、どこにもそんな表現は描かれていないのです。それでも読み手の心に、ジワリとしみわたってきます。パンがミルクを吸うように。構成もとても上手く、無駄な描写を削りながらもきっちりと伝わってきます。読了後には笑顔を浮かべることができる、良作です。
日常に疲れた「私」は久々に実家に帰省し、母と昔食べたフレンチトーストを焼き始める――思い出の味は母から娘へと伝えられていくもの。カフェで食べるような豪華なトッピングが乗っているフレンチトーストではないけれど、時々食べたくなる「あの味」みたいなものを彷彿とさせるお話でした♪
子供の時、母が焼いてくれた、甘味の利いたフレンチトースト。 心が折れそうな時、母が使っていた道具で、自分も焼いたら元気が出ると思い実家に帰る。 焼いた時の匂いと食べた時の甘さを味わって、自分を取り戻した若い時の思い出が懐かしい。今は、自分の娘に同じ思いを伝えて、しみじみ幸せを嚙みしめている、私。