どちらにも言い分があるにせよ、より恨みの深い方がより強い呪いをもつ。そしてたいていの場合、より恨みが深いのは弱者とされるものの方。すかっとする話では決してないけれど、こんなにじめじめと熱い夜を過ごすのにはうってつけな作品です。
猫の怨念は、残酷な手法で復習を果たす。それだけではない。決まった結末をちゃんと聞かせることで、運命を見事に縛ってみせた。このお話の本当の怖さは、そこだと思います。余命を宣告された家族たちは、どうしても残りの時間や、決められた最期を意識してしまう。なら、はじめから知らない方がいいんじゃないでしょうか。少なくとも僕は、そんなサスペンス的なハラハラする人生よりも、のほほんと生きていて、突然頭をぶつける方が気が楽です。帰ったら、飼っている猫をめい一杯撫でてやろうかな……。にぎた