第2話


   1


 ぽっぽー。ほほー。ぽっぽー。ほほー。


 どこかで鳩が鳴いてます。

 月曜日の朝でした。



 ついでにスマートフォンのアラームも鳴っていました。

 僕はベッドの上で瞼を開き、朝になってしまったことを残念に思います。

 月曜日は本当に厄介です。月曜日に自殺する人はやり過ぎだと思いますが、週が明けてしまうのはやっぱり気分がよいものじゃありません。毎日が日曜日なら、世界は怠け者で一杯になりあっという間に滅びてしまうでしょう。ですが、それでも僕は、毎日が日曜日の滅びゆく怠け者ワールドであっても良いのでは、と考えてしまいます。特にこんな月曜日の朝は――。



 スマートフォンのアラームはまだ鳴っています。

 僕は、お腹の上にかけているタオルケットをどかして、上体を起こしました。白い壁と扇風機の風で揺れるカーテン。関節の有無を確かめるように伸びをすると、あくびが出ました。

 まだまだスマートフォンのアラームは鳴っています。とても五月蠅いです。壊してやりたいくらいです。スクラップ&スクラップ!

 もちろん僕は、五月蠅いからなんて理由で朝からスマートフォンを壊したりしません。

 理性的であり、怠惰。

 それが僕という青年への他人からの評価ですし、僕自身もそう思っています。だから、ちょっと五月蠅いくらいでは、まだ本体のローンが残っているスマートフォンを壊したりはしません。理性と怠惰が、破壊活動を許しません。理性的な怠け者は地球に優しい生き物なのです。

 手を精一杯伸ばして画面にタップします。アラームを止め、ベッドを降りました。

 カーテンを開いて、外の天気を確認。

 晴天でした。

 もう七月です。毎日のように最高気温を更新していきます。

 暑いのは嫌いです――。

 それから僕は昨日の夜に淹れて、冷蔵庫で冷やしておいたインスタントコーヒーをがぶ飲みです。ついでに小さいバームクーヘン。これが最近の朝ご飯です。

 おっと。もう七時四十分を過ぎています。歯を磨いて、顔を洗って、制服を着て、鼻歌でも歌いながら、ご機嫌な感じで、学校に行かなければなりません。

 始業は八時三十五分からなのです。

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人造人間と天使見習いとセックス。あと殺人事件。 嘘野スロウ @usonoslow

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