廃された王に捧ぐ一膳

作者 名瀬口にぼし

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★★★ Excellent!!!

素晴らしい料理の腕を持った女性・宵鈴が作った一杯。

歴史・中華ものでも、専門用語や前知識のひつようせいもなく、とてもわかりやすく、頭で描きやすい描写と表現です。
是非、たくさんの方に読んでいただきたいです。

没入感が強く、主人公に共感しました。読んでいる私自身、文章を読み進める間も他に手はないのかと模索しました。思い付きませんでした。
淡々とした文章の中に宿る強く静かな感情と、ひたすらに大きく存在する現実感に圧倒されます。

涙を流しそうになるのを堪えて読み進めましたが、最後の一文で泣きました。

★★★ Excellent!!!

「プロットの段階で、すでに面白い作品」は、
虚飾のない淡々とした口調でも、物語を過不足なく支えられる
──そんな力のある作品です。

短めの作品なので、内容はお楽しみにとっておくとして、
「プロットの優れた作品」を読みたい向きは是非!
おススメです♡

★★★ Excellent!!!

 カクヨム公式より紹介され、拝読させて頂きました。
 読み進めて行くうちに、結末がわかってしまう。わかっていても、読んでしまう。悲しさ・覚悟・焦燥・諦念、それら全ての感情が、ない交ぜになって心に引っ掛かってきます。

 ここまで濃密な感情の波があったでしょうか。短編小説とは思えないものでありました。

 他の方々にもオススメ出来るものです。是非ご一読を。

★★★ Excellent!!!

峯なる国で食堂を営んでいた朱宵鈴はその腕を買われ、先代の帝たる暁王の料理人に取り立てられた。
狂人であるがゆえに禅譲を迫られたという暁王は、現帝に毒を盛られた結果、子どもさながらの無垢と化していたのだ。
朱宵鈴は料理を出し続け、暁王との平穏な日々を過ごすのだが――
叛乱の勃発により、その旗印とされかねない暁王の毒殺を命じられる。

テーマがタイトルそのままという、非常によくできた構成に目を惹きつけられました。
そして、主人公と暁王の会合シーンはすべて食卓という潔さを始め、1万字弱の短編にここまでの「色濃さ」を演出してのけた筆力にもです。

主人公の心情が細やかで濃やかなんですよね。だからこそ、彼女の最後の選択に説得力がありますし、叙情がある。
主人公にきちんとピンスポを当ててひとつのテーマを書き切れる人は希少なので、その点にぜひ注目してお読みいただきたいところです。迷わずオススメさせていただきますよー。

(目を持って行かれた“テーマ”4選/文=髙橋 剛)

★★★ Excellent!!!

ニヤニヤしました。
と言うのも、自分が抑えている時代、東晋末。
思いっきり似た末期を遂げている皇帝がいるのです。
安帝と、恭帝。

二人は兄弟で、兄はこの物語にも出てくるような精神退行者。
弟はその兄をよく支えたが、兄暗殺後、将軍「劉裕」に
皇位を禅譲する役として飾りの皇帝に据えられ、
そしてやはり殺されます。

この物語の印象としては、この二帝のエピソードが合わさった感じ。
逆に言えば、史書の中では「暗殺されました」程度でしかない
エピソードの中に、朱宵鈴のような思いを抱えた人も
いたのだろうなぁ、などと思うのです。

特に恭帝暗殺に際しては、
朱宵鈴に近い立場の人の事跡が残されてもおり、興味深いです。
その方は恭帝の毒殺を仄めかされたので、自らがその毒を仰ぎ、
死ぬ、と言う振る舞いに出ましたが。

歴史と物語が出会う面白さを感じました。