同じ作者さんの「諜報員明智湖太郎」の番外編のような位置づけの作品です。
戦時中の旧大日本帝国の諜報機関に所属する青年たちの活躍を描いた本編が別にあるので、そちらを先に読んだ方がより楽しむことができます。
国益を守るために選び抜かれた主人公明智と、その同期の若き精鋭たち。
そんな彼らも訓練生として過ごしていた日々があったのですが、ある日、スパイとしての訓練を兼ねて、たまたま見つけた同人誌に書かれていた「駄作」と評されるほどの稚拙な展開の小説の作者を探しだすことになって……。
主人公の周りにいる癖のある同期生たちとのやり取りが面白く、苦境に立たされる明智にハラハラしながらもテンポのいい展開を楽しむことができました。
本編ではシリアスな事件に立ち向かう諜報員たちの「コミカルな日常」を描いた中編です。
臨場感ある心理描写と戦時中の独特な雰囲気を確かな筆力で描いていています。
是非ご一読を。
諜報員明智湖太郎が諜報員となる前、「綾小路冬彦」と言う名で、若さの勢いで書いたたったひとつの同人小説が、なんと、あろう事か湖太郎の属する諜報員メンバーの手に!
消し去りたい過去の出来事、恥ずかしくてとても見せられない駄作(と本人は思っている)
この小説を書いた作者は誰なのか?
メンバーは諜報活動の練習になるからと、限られた情報から作者を特定するという遊びを始めた。
こうして犯人捜しならぬ作家捜しは始まり、どんどんと追い込まれていく湖太郎だった。
明智湖太郎はみんなの前で恥をかくことになってしまうのか……!?
諜報員明智湖太郎シリーズのサブストーリー。
おちゃめな湖太郎の姿を見ることが出来たり、本編とリンクする部分があったりで、シリーズファンとしてはとても楽しかったです。
個人的には佐々木さんの活躍が良かったです♪
もちろん、こちらの作品単体でも十分楽しめる内容です!