第十五夜/ゲーム語り/『ブロック&ゲス』

1.ゲーム概要

原題:Alan and Bobby's Block and Guess

デザイナー:アラン・R・ムーン、ボビー・ウェスト

販売:ホビージャパン

ゲーム種類:ボードゲーム

プレイ時間:30分(著者実測:30分)

プレイ人数:3~8人(筆者推奨:偶数人)

定価:3,960円(税込)


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木のブロックを使って、単語を当ててもらう。

簡単そう?

そうはいかないんだな!

『ブロック・アンド・ゲス』では、

君が使うブロックは相手が選ぶんだ……(販社公式ページより引用)

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2.感想

★★Very Good!! 箱を開けてすぐ遊べる軽快なコミュニケーションゲーム


チケット・トゥ・ライドでおなじみアラン・R・ムーンと、その相棒のボビー・ウェストの最新作は、なんとコミュニケーションゲーム。プレイヤーは2チームに別れて、大小様々な形のブロックを使った「お題当て」にチャレンジします。


ルールはかなりシンプル。はじめに「手がかりカード」を公開します。カードには7つのお題が書いてあります。その中のどれかが「正解」になるというわけですね。つまり7択問題。


続いてチームごと1人の「建築家(ブロックでお題を表現する人)」が数字カードを一枚引いて密かに中身を確認します。その後、建築家同士で互いのカードを確認し合います。この数字カードの数字に対応したお題が、各チームの「正解」となります。


さて、建築家としては、カードの確認が終わったら、早速お題の制作に取りかかりたいところですが……その前に! 制作に使用するブロックを選びます。と言っても、選ぶのは自分が使うものではなく、相手チームの建築家に使わせるブロック。建築家同士、お互いの答えは確認し合っているわけで、当然お題を作るのに不向きなクソブロックばかりを使うことになります。このゲームのデザイナーは性格が悪いんじゃないですかね(名推理)。


ともあれお互いに3つのブロックを選び終わったら、制作開始。目の前のブロックを適度に罵りながら、お題を表現していきます。特に砂時計とかは入ってないんですが1分程度で作ってくださいとルールブックに書いてありました。このゲームのデザイナーは結構適当なんじゃないですかね(名推理)。


無事、建築家の製作が終わったら、残りのチームメンバーの出番です。7つのお題の中でどれが正解か推理し、見事当てられたら2点獲得。なお、外れた場合もブロックを6つに増やした上で再挑戦することができます。


とまぁ、文章で説明するとそこそこの分量ですが、ルール自体にそれほど難しいところはないかと思います。何より準備がすごく簡単で、箱を開けてすぐに始められるところが素晴らしい!


でも、お題を作るのに不向きなクソブロック数個でお題を表現することなんてできる? 仮に表現できたとしても、ちゃんと伝わる? と疑問に感じる方もいるかと思います。何回かやった感じだと、意外と何とかなります。


と言うのも、相手チームの建築家が選んだブロックは基本的に使いにくいブロックのはずなので、選んだブロック、あるいは選ばれなかったブロックから、案外お題を絞り込むことができます。さらに、建築家は製作過程で妥協を余儀なくされることがしばしばなのですが、その苦悩する姿も推理の材料となりうるのです(ひょっとして〇〇を表現しようとしたけどできなくて××に路線変更したってコト?!)。


一方で、てがかりカードの内容がまた結構意地が悪くて、「サメ」と「クジラ」や「自動車」と「戦車」みたいに絶妙に似たような感じのものが同じカードの中に並んでたりします。ぐぬぬ。


まとめると、『ブロック&ゲス』はブロックを使った気軽に楽しめるコミュニケーションゲームです。


ゲームとしての奥行きの深さは「ピクチャーズ」「ディクシット」には及ばず、うまくはまったときの瞬間風速は「テレストレーション」や「ジャストワン」に及ばないと思いますが、誰でもすぐに理解できる簡単なルールと、箱を開けてすぐに始められる気軽さは、他になかなかない長所だと思います。


3.余談

本稿では説明を簡略化するため、お題の制作にサブルールを追加する「建築カード」のことを割愛しています。詳細はルールブックをご確認ください。

※不器用な人が多いなら「建築カード」のルールはナシでも良いかも。


ブロック&ゲス(Block & Guess)というゲームのタイトルは、日本語圏にいるとあまり良いイメージのない語の組み合わせなのですが、「block(積み木) & guess(積み木からの推測)」と「block(相手チームの妨害) & guess(相手チームの妨害からの推測)」が掛かっているので、原題に忠実なタイトルにしたのは英断ですね(でも検索性が悪いのよ)。


一緒に遊んだ方が「知育にも良さそうですね」と言ったので、試しに6歳児と一緒に遊んでみました。2人なので単に当てっこゲームとして、数字カードは使用せず、子どもが建築家のときは好きな語を選ばせ、わたしが建築家のときは子どもが知ってそうな語を選んで遊んでみましたが、夢中になって遊んでくれましたね(ブロック遊びをするだけではなく、ちゃんとわたしが作ったものが何かを推理して当てていました!)。素晴らしい。

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