猫魔女ミリの五線譜ノート
安芸咲良
第一楽章
「きゃー!」
通りで悲鳴が上がった。ひとりの男がナイフを持って、あばれ回っている。人々は遠巻きに見ているけれど、誰も男に近づけずにいた。
犯人を取り囲む人のひとりが、ふと屋上を見上げた。
「見ろ! 音の魔法使いだ!」
「あれは……ミリ!?」
屋上に立つ少女・ミリはくすっと笑うと、足を一歩ふみ出した。軽くジャンプして、屋上から飛び降りる。風にあおられてミルクティー色の三つ編みが揺れた。
「あたしが来たからにはもう安心よ! この世界一の音の魔法使いがね!」
そうしてミリは
通りに軽やかな音楽が響き渡る。それを聞くと、暴れていた犯人は大人しくなってしまった。
ミリは指揮棒をもう一振りすると、飛び出した音符に乗って軽やかに着地を決めた。
そうしてかかげた左手をきゅっとにぎると、シャンっと鳴って音楽がやんだ。
「さすがミリだ!」
「ミリありがとー!」
「ミリー!」
歓声が湧き上がる。ミリは取り囲む人たちに手を振った。
ミリー!
ミリー!
ピピー!
ピピピピピ…………
「ミリさーん! そろそろ起きないと遅刻するよー!」
あたしははっと目を覚ました。枕もとの時計に目をやる。
やばい……。これはまじでやばい……。
「にゃー! 遅刻だー!」
あたしはあわててベッドから飛び起きると、制服に着替える。きのうのうちに準備しておいてよかったー!
バタバタとドレッサーの前に座ると、ひえってなった。相変わらずひどい寝ぐせ! でも三つ編みにしちゃえば目立たないから、今日もちゃちゃっと結んでしまう。ほんとはもっとかわいい髪型にもしてみたいんだけど……。
「おはようパパ! まだ時間大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。もう身だしなみはバッチリだからね」
よかったぁ。
あたしはリビングのテーブルにつく。わっ、サンドイッチだ! パパ特製のたまごサンド、あたし大好きなんだよねー。
たまごをしっかりきざんで、マヨネーズと、かくし味に塩こしょう。パンはもちろんパパの手づくり!
でも、これからしばらく食べられなくなると思うと、ちょっぴり悲しくなっちゃう。
だって今日は……。
ふとかべにかかったテレビが目に入る。
『では次のニュースです。きのう夕方、イーストシティの中央通りで男が雑貨店におし入る事件が発生しました。男はすぐにかけつけた魔法使いによって捕まり……』
そうして画面が切り替わる。
「ママだ!」
アップになった画面には、あたしと同じミルクティー色のさらさらヘアのママが映っていた。さらさらヘアは同じじゃないけど……。くせっ毛はパパに似ちゃったけど……。
テレビに映るママは、指揮棒を振る。するとあばれ回っていた犯人は、あっというまにおとなしくなっちゃった! 画面がまた切り替わって、インタビューを受けるママが映った。
「ママ、大活躍だね」
「うん、パパも自慢のママだと思うよ」
あたしのママは国中を飛び回るすごい魔法使いなの。音の魔法でどんな人もとりこにする音楽を奏でちゃう。
そっか。あんな夢を見たのも、きのうママのニュースを見たからかも。
あたしもママみたいな魔法使いになるのが夢なんだ。
だからこの日が来るのが待ち遠しかった。ママも通ったハノン音楽院。今日はその入学式なの!
「今日がミリさんの夢の第一歩だね。これ、パパからの入学祝いだよ」
そう言ってパパはあたしの首にチョーカーをつけてくれた。パパが差し出した鏡には、あたしの首もとに三日月のチャームがついたチョーカーが映っている。
「かわいい! パパ、これもらっていいの!?」
ばっとうしろを振り返ると、チョーカーがちりんと鳴った。鈴が入ってるんだ。
パパはにっこり笑った。
「もちろん。さみしくなったら、この鈴を鳴らしてがんばるんだよ」
「うん!」
あたしは椅子から立ち上がって、パパにぎゅっと抱きついた。
「……やっぱり、学院に行くのやめとくかい?」
「それはダメ」
あたしはぱっと顔を上げた。パパがおどろいてるけど、これはゆずれない。
「パパと会えなくなるのはさみしいけど、あたしはママみたいなすごい魔法使いになるって決めたの」
不安もある。だれも知ってる人のいないところで、ちゃんとやっていけるのかなって足がすくみそうにもなる。
パパがくすっと笑った。
なに? あたし、なにか変なこと言ったかな?
パパの手があたしの耳に伸びてくる。
「ならこれもコントロールできるようにならないとだね」
はっ! もしかして……。
「にゃー! またやっちゃった!」
耳にさわってみると、ふわりとした毛の感触。あたしの耳は、まるっとした人間の耳じゃなくて、三角の猫の耳になってしまっていた。
あたしのママは、すごい魔女。
そしてパパは化け猫なの。でも人間にしか見えないでしょ? パパの変身能力はすっごいんだから!
ハーフのあたしはおどろいたり感情がたかぶったりすると、猫耳が出ちゃうの……。気をつけてはいるんだけど、まだまだ修行がたりないみたい。
「いきなり耳が変化してびっくりする子もいるかもしれないからね。学院では気をつけるんだよ?」
「はぁーい……」
近所の子たちはもうなれっこだけど、学院には国中から生徒が集まってくる。ほんとに気をつけなきゃだなぁ。
パパもママも近所の友だちもいないところに行くんだなぁ……。あたし、ちゃんとやっていけるのかな……。
うつむきかけたあたしの頭を、パパは優しくなでてくれた。
「ホリデーにはごちそうを用意して待ってるからね」
「ほんと!? 絶対よ? たまごサンド、いっぱい作ってね」
そうしてパパはまたあたしをぎゅっと抱きしめてくれる。
「……がんばってくるんだよ」
「うん!」
そうしてあたしは生まれ育った家をあとにした。
♪
駅はたくさんの人たちでにぎわっていた。おとなの人もいるから全部がハノン音楽院に向かうわけじゃないだろうけど、あたしと同じ制服を着た子がちょこちょこいる。えりに白いレースをあしらった紺色のAラインのワンピース。白いベレー帽と茶色の編み上げブーツがかわいいの。男子は紺色のブレザーに、灰色のズボン。なかなかかっこいいと思う。
汽車のベルが鳴り響く。
いけない! 急がないと!
あたしはあわてて汽車に飛び乗った。
セントラルシティへ向かう汽車は、ハノン音楽院の生徒であふれ返っている。あたしはトランクを抱えて、空いてる席を探した。
「ねぇ、となり座ってもいい?」
ようやく空いてる席を見つけて、あたしはすぐさま声をかけちゃったけど、顔を上げたその子を見てびっくりしちゃった。すっごくかわいい子だったの!
あごのラインで切りそろえられた髪はサラサラで、毛先がちょっと内側にくるんってなってる。少し垂れ目な瞳があたしの目と合った。
「あっ、うん! いいよ」
「ありがとう。あなたも新入生?」
あたしはトランクを足もとにおいて、その子のとなりにすわった。わー、シートふわふわだー。
「うん、あなたも?」
「そうなの。あたしはミリ。よろしくね」
「こちらこそよろしく。わたしはナノっていうの」
名前までかわいい! さっそく友達ができてうれしいなー。
「寮って二人部屋なんだよね? 一緒の部屋だといいねー」
「……っ! わたしもそう思う!」
ほんとにそうなるといいな。
あたしたちがわいわい話してたときだった。
「どっか空いてねぇかなー」
あたしたちが乗った車両に、男の子の集団が入ってきた。先頭にいた男の子と目が合う。
ちょっとかっこいいかも。サラサラの金の髪に、きりっとした目。背も高いしなかなかイケメンじゃないの?
「おまえら新入生?」
「そ、そうだけど」
「じゃあそこの席代われよ」
は? いまなんて言った? 聞きまちがいだったかな? 初対面でこんなかっこいい人が失礼なことを言うはずないよね!
「おい聞こえなかったのか? そこどけって言ったんだよ」
聞きまちがいじゃなかったー!
横からくいくいっとそでを引っぱられる。ナノが泣きそうな顔で「ミリ……」とつぶやいた。
大丈夫だよナノ! あたしが守ってあげるからね!
あたしはその子をきっとにらみつけた。
「いやよ。先にすわってたのはあたしたちなのよ。他の空いてるとこ探したら?」
あたしは立ち上がってきっぱりと言った。う、やっぱりこの子背が高いな……。他の二人はあたしとそんなに変わんないけど。
「なんだと? この女……」
「ヨクトが主席と知ってて言ってんのか?」
ひえっ! 主席!? イケメンだけじゃなくて頭もいいとは……。でも性格はサイアクだけど!
イケメン――ヨクトっていうのか。ヨクトがあたしの方を見て、顔をしかめる。な、なによ?
「おまえ……。混血かよ」
はっとしてあたしは耳にさわった。
にゃー! 猫耳が出ちゃってる!
今朝パパに言われたばかりなのに……。
あたしが必死に耳を戻していると、なんだか視線を感じた。顔を上げると、するどい目つきのヨクトと目が合った。
「な、なによ」
「混血風情がハノン音楽院に入るなんて笑わせる。すぐ退学になるんじゃないか?」
なにその言い方! 失礼すぎ!
「ハーフだからってなんだっていうのよ! ちゃんと試験を受けて、合格したもん! あなたにそんなことを言われるすじあいはないわ!」
すっごく失礼! ハーフやモンスターを差別するなんて、古くさいにもほどがある!
そう、ハーフやモンスターを差別する時代があったのよね。でもそういうのはやめましょうっていう決まりができて、差別はなくなったの。いまどき『混血』なんて言うの、正直ダサいと思う!
だけどヨクトは「へぇ?」と笑って、ずいっとあたしに顔を近づけてきた。
「おまえ、入試何位だった?」
「ひ、人に言うほどじゃないわよ……!」
言えない……。言えないよー! 下から数えた方が早いなんて!
ヨクトはもうあたしに興味がなくなったようで、ナノの方を見た。
「そっちは?」
「にっ、二番……」
「えっ!?」
ナノが二番!? すごい……。頭良かったんだ……。
ナノは立ち上がって、ふわりとほほ笑んだ。
「あなたがヨクトだったのね。いつも全国テストで競争してる人と会えたらなって思ってたの。わたしはナノ。そしてこっちはミリ。よろしくね」
よろしくしたくないよー!
でもヨクトには効果的だったようで、ちょっとひるんだ様子だ。
「おまえがナノだったのか……。ふん! なら見逃してやる。でも俺が入試は主席だったことは忘れるなよ」
捨てゼリフを吐いて、ヨクトたちは別の車両に行ってしまった。
なんだったのもう……。あたしはすとんと座り込んでしまった。
「テストで名前だけは知ってたんだけど、今日はじめて会ったの。同じ学校だったなんてびっくり。けっこうかっこよかったね」
「どこが!? 人の席取ろうとするサイテー男だよ!?」
おまけに差別主義! サイテーじゃん!
思い出しても腹立つー! 主席がそんなにえらいわけ!?
あたしはナノの肩をがしっとつかんだ。
「ナノ! ヨクトだけはダメだからね!」
「だめってそんな……。そういうつもりで言ったんじゃないよー?」
ダメダメぜったいダメ! ナノとヨクトがつき合うなんて、学院長が許してもあたしが許さないんだから!
そうこうしてるうちに、汽車はセントラル駅に着いた。
「うっ……わぁ……」
改札口を出て、あたしはびっくりしちゃった。坂道を上がった先、遠くに王宮が見えたの。テレビで見たとおり、ほんとにお城なんだなぁ。
「すごいね! あたし、セントラルってはじめて来た!」
「わたしも。学院は王宮の近くみたいよ」
あたしたちは同じ制服の生徒たちについて行った。
♪
新入生は談話室に集められて、まずは入寮式だった。寮母さんは太った女の人で、大きな声で笑うところがなんだか親しみやすそう。
「あっ、ナノ! あたしたち、同じ部屋だよ!」
「ほんとだ! やったぁ!」
掲示板の部屋割りを見て、あたしたちはハイタッチした。
あたしたちの部屋は二階。談話室の片すみにあるらせん階段をあたしとナノは上がる。ワインレッドのふかふかなじゅうたんがしかれた廊下を通って、つきあたり。そこがあたしたちの部屋だ。
チョコレートみたいなドアを開けると、またしてもあたしは歓声を上げるはめになった。もうすっごくかわいいの!
「わーい! ベッドふかふかだー!」
あたしは部屋の奥に二つ並んだベッドの一つに飛び乗った。枕の上にある窓には白いレースのカーテンと、チェックの空色のカーテンがかけられている。
ベッドの両脇には白い棚があって、それぞれの持ち物を入れられるみたい。
ドアの両サイドには、白い勉強机が一つずつ置かれている。うーん、イスに座って勉強するのはきらいだけど、こんなにかわいい机ならちょっとがんばれちゃうかも!
「かわいい部屋でよかったね」
ナノも満足そうだ。
「うん!」
入学式は明日。楽しみだー!
♪
なんて思ってたのに……。
「にゃー! 遅刻だー!」
やばい! 初日から遅刻なんてやばすぎる!
ナノも起こしてくれればいいのにー!
って何度も起こしてくれたんだけどね……。あたしがあんまり起きないものだから、先に行っちゃったんだ。
あたしはあわてて寮を飛び出した。
「にゃっ!」
「わっ!」
すると飛び出してきた人とぶつかっちゃった!
「い……たたたたた……。ごめんなさい、大丈夫?」
「いや俺の方こそ。前見てなかった」
ん? この声は……。
「っておまえかよ」
「あー! ヨクト! あやまって損した!」
なんでこいつがこんなとこにいるのよ!
って男子寮と女子寮の分かれ道だから当然か。
ヨクトはバカにするように笑った。
「もしかして遅刻か? やっぱり頭の悪いやつは時間にもルーズなんだな」
「そっちこそ。いまここにいるってことはあんたも遅刻じゃない」
そんな言い合いをして、二人ではっとする。ケンカしてる場合じゃない! 遅刻しそうなんだった! 急がなきゃ!
「なんでついてくるのよ!」
「俺がこっちに用があんだよ。いやならお前が道ゆずれ」
「なんであたしがゆずんなきゃいけないのよ!」
ほんとこいつムカつくー!
結局あたしたちは、講堂まで並んで走るはめになってしまった。
「あっ、ミリ!」
「おはよっ……ナノ……」
よかった……間に合った……。
講堂の前には新入生が集まっていて、ちょうど先生がやってくるところだった。
「ごめんね。なんども起こしたんだけど……」
「ううん、いいの。起きないあたしが悪いんだし」
これからは気をつけなきゃな……。あいつとも鉢合わせたくないし!
「新入生のみなさん! 注目! これから入学式です。学院長のお話と上級生の演奏があるので、みなさん静かに聞くように!」
そうして講堂のドアが開いて、あたしたち新入生は入っていった。
学院長のおはなしは眠くなりそうだったけど、がんばって起きてたよ!
すごかったのが、先輩たちの演奏なの。
息が合ってるのはとうぜんで、もちろん上手。なんていうか、うまく言えないんだけど圧倒されるってこういうことを言うのかな? さすがハノン音楽院の生徒は違う。
あたしもこんな風になれるのかな? 急に不安になってきた。
ずっとママみたいな魔法使いになるのが夢だった。ママが通ったこの学院であたしも勉強して、立派な魔法使いになるんだって思ってた。
でも、あたしに先輩たちみたいにできるのかな……?
「すごいね、先輩たち。負けてられないね」
となりに座っていたナノが、あたしにこっそり耳打ちした。その言葉にあたしははっとする。
そうだ、負けてなんかいられない。できるかどうかじゃなくて、まずはやってみなきゃダメなんだ。だってあたしの学院生活はまだ始まったばかりなんだもの。できなかったときは、そのときに考えよう。
「そうだね。ありがと、ナノ」
お礼を言われてナノは不思議そうな顔をしてたけど、ぐっとこぶしを握っていたあたしは気づいていなかった。
♪
入学式が終わると、あたしたちは教室へと向かった。
階段状になった席に、思い思いに着く。あたしはもちろんナノのとなり!
先生たちが入ってきて、学院長が教卓の前に立った。ざわめいてた教室がしずかになっていく。
「みなさん、はじめまして。この学院の学院長のゼタです。このハノン音楽院に入学おめでとうございます」
校長先生はあたしたち生徒を見渡す。
入学式でも思ったけど、なんだかちょっとママにふんいきが似てる気がする。学院長って言うからには、きっとすごい魔法使いなんだよね? だからかな。
「この学院入学にあたって、みなさんに言っておきたいことがひとつあります。それは、自分の心を大事にしてほしいということです」
心……。どういうことなんだろう。
「美しいメロディは美しい心から生まれます。みなさんが目指すのは、一流の音の魔法使いです。美しい音色を奏でるために、どうか自分の心を大事にしてあげてください」
うーん……。わかったような、わからなかったような……。
とにかく、ウソをつかないとか、どんなことも一生懸命がんばるとか、そういうことをやっていけばいいのかな?
ひとりの先生が、学院長のもとへ箱を持ってきた。
「これからみなさんの入学祝いとして、五線譜ノートをくばります。みなさん、素敵なメロディをこのノートに記していってくださいね」
そうしてひとりずつ名前を呼ばれてノートを取りにいく。
わぁ! はじめての五線譜ノートだ!
あたしの家には、ママの残したノートがたくさんあった。ママが作ったいろんな曲。あたしは小さいころからそれを見て育ってきて、あのノートにあこがれてたんだー。
「ミリさん」
「はい!」
名前を呼ばれてあたしは教卓へと急いだ。
学院長はじっとあたしを見つめる。なんだろう……?
「ミリさん。すてきな音楽を作っていくんですよ」
「はい!」
学院長はそう言ってノートをくれた。
見つめられたとき、やっぱりママを思い出しちゃった。やっぱりちょっと似てるかも。
席に戻って、あたしは机の上のノートに目を落とした。
白い表紙にはきれいな字で『五線譜ノート』と書かれている。綴じているのは黒いテープ。すごい、なんだか大人になった気分……。
中を開くと、当然まっしろなノートだ。音符の書かれていない五線譜が、規則正しく並んでいる。
音の魔法は、指揮棒を振ることで生まれる。指揮棒から飛び出した音符は、メロディとなって鳴りひびくの。そのままでもそのときは聞くことができるけど、メロディを記しておいたらいつでも演奏することができるでしょ? そのために五線譜ノートに記しておくの。
あたしはかばんから指揮棒を取り出した。入学前に、パパと買いに行ったあたしの指揮棒。リンデンの枝に、コルクの持ち手。長さはお店の人と相談して、二十五センチにしてもらった。
はじめての自分の指揮棒がうれしくて、家で何度も振っちゃった。ママみたいにきれいな音は出せなくて、音符がぱらぱらとこぼれ落ちるだけだったけどね。
でも今日からはちがう。いっぱいいっぱい勉強して、ママのあのノートみたいな音楽を生み出していくんだ!
勉強はニガテなんだけどね。
でもがんばるぞー!
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