第三楽章
クリスマスパーティは楽しみ!
楽しみなんだけど……。
「もうすぐ定期テストでーす」
にゃー!
先生の楽しそうな声に、クラスのみんなの悲鳴が上がった。
「ナノー! 勉強教えてー!」
昼休みのカフェテリア。あたしはトレイを手にするナノに泣きついた。あっ、あたしもごはん取ってこなきゃ!
今日はカルボナーラにしてみた。ナノが持ってるのを見たら、あたしも食べたくなっちゃったの。ベーコンが大きくておいしい!
「食べ終わってからでいいから、勉強教えて? ナノ」
「いいよー。なにを教えればいい?」
「えっとね。楽典と音楽史と、管弦楽法と指揮法と……」
ナノがあせったように「ちょっとまって!」と止める。うん? なに?
「もしかして……全部?」
「全部じゃないよ! 実技の指揮法は大丈夫!」
先生のお墨付きだもんね!
だけど困ったようなナノの表情は変わらなかった。
「……じゃあ放課後、図書館でやろっか」
「うん!」
わーい! 助かるー!
♪
放課後の図書館は、あたしたちと同じように勉強する生徒でいっぱいだった。
「はにゃー。みんながんばってるるねぇ」
「……ミリもがんばろうね」
「うん! もちろん!」
ナノ、なんかあせってる? なんでだろう?
あたしたちは図書館の一角の自習スペースに来ていた。
「そうそう、
「えーっと……。最初に戻る!」
「正解!」
やったー! 楽典もだんだんわかってきたぞ!
「やればできるじゃん、ミリ」
「ナノの教え方がいいんだよー。さすが二番」
入学試験は二番だったナノだけど、ふだんのミニテストはヨクトと張り合ってるみたい。ほんとにすごいなぁ。
「あとは聴音だけど……。ここじゃできないよね」
「あ、そか。じゃあ器楽室行く?」
あたしがそう提案したときだった。
「ナノ。指揮法の先生が呼んでる」
ヨクトが声をかけてきた。
「指揮法の先生? なんだろう?」
ナノは立ち上がる。
「えー! ナノ、聴音は?」
「また明日やろう?」
うぅ……。しかたないけど、テストに間に合うかなぁ?
「なら俺が見てやろうか?」
その声に顔を上げる。
提案したのはほかでもない、ヨクトだった。
どういう風の吹き回し!?
♪
器楽室を使ってる人は誰もいなくて、あたしはヨクトとふたりっきりだった。
ヨクトはピアノの前に座って、準備をしている。
この間からあたし、なんか変なんだよね……。具体的にいうと、ヨクトと話したあの夜から。
ヨクトがそばにいると心臓がバクバクしちゃうし、カフェテリアではどこにいるのかなって探しちゃう。なにかの病気なのかなぁ?
「よし。じゃあ単音からいくぞ」
あれこれ考えてる間に、準備は終わったみたい。
いけないいけない! 集中しなきゃ! せっかく見てくれるんだし!
あたしは鍵盤の見えない位置に立つ。
ピアノがポーンと鳴った。
「……ミ?」
「正解。じゃあ次」
そんな風にヨクトのレッスンは続いていく。
和音がちょっとむずかしかったけど、ヨクトは根気よくつきあってくれた。
「うん。これくらいできれば大丈夫じゃないか?」
「ほんと? でも、テストでもちゃんとできるかなぁ……」
今日は練習と思っておちついてできたけど、テストでは緊張しちゃいそう。大丈夫かなぁ?
「緊張しそうになったら、深呼吸するんだ。ミリならできるよ。俺がついてる」
椅子に座ったままのヨクトは、あたしを見上げてそう言った。
~~それ反則! 『俺がついてる』なんて、ドキッとしちゃったじゃん!
……そっか、そういうことか。
あたし、ヨクトのことが好きなんだ。
だから一緒にいると落ち着かないし、つい姿を探しちゃう。
なんだ、そうだったんだ。
「ミリ?」
「あっ! うん! がんばってヨクトに言われたこと思い出すね!」
あぶないあぶない……。あんまり挙動不審にしてたら気づかれるところだった……。
ヨクトはけげんな表情を浮かべている。
気にしないで! いろいろもたないから!
……こんなんであたし、テスト乗り切れるかなぁ?
♪
定期テストは無事に終わって(一応ね……)、クリスマスパーティの準備は着々と進んでいた。
町は赤や緑であふれ始めたけど、ハノン音楽院では白をメインに使うみたい。これはこれで雪みたいできれいだと思う。
あたしは寮の自分の部屋で、いまにも雪がふり出しそうな空を見上げた。
「恋わずらい?」
肩に乗っかった重みにあたしはばっとふり返った。
「ナノ!」
ふり返るとにっこり笑顔を浮かべたナノがいた。いや、これはにっこりというより、ニヤニヤだ……。
「そんなんじゃないってば!」
最初はまじめでおとなしいと思ったナノだけど、この間からちょくちょくあたしをからかってくる。絶対楽しんでるな……。
「ナノ……。なんども言うようだけど、あたしとヨクトはほんとになんにもないんだからね?」
「そうね。まだ気づいてないのならまわりがどうこう言う問題じゃないわね」
「だからちがうってば!」
もう! 話が通じないみたい!
あたしは革のかばんを背負うと、ドアを開けた。
「どこ行くの? 今日は日曜日だよ?」
「学院長に呼ばれてるの。楽典の追試だよー……」
この前の定期テスト。あたしだけ赤点だったんだー……。とくべつに学院長が追試してくれることになったんだけど、ゆううつだなぁ……。
「そっか。でもこれが終わったらクリスマスパーティだよ。がんばってね」
あたしはナノに背中を押されて部屋を出た。
♪
時計の音だけが教室にひびきわたる。あたしは必死にペンを走らせた。
「はい、そこまで」
学院長の声にあたしはペンを置いた。
はぁ~、つっかれた~!
「じゃあ答え合わせするから、少し待っててくださいね」
「はーい」
どうかな……。手ごたえはあったけど……。
時計の音を聞きながら、あたしはドキドキしながら待っていた。
学院長は赤ペンを置いた。
「はい、八十五点。合格です」
「やったー!」
じつは本試験では五十点だったの。がんばったと思わない!?
学院長はあたしにテスト用紙を返してきた。
「あなたは才能あるんだから、教科書の勉強をもう少しがんばりましょうね」
「はぁーい……。って、え!? あたし才能ありますか!?」
「もちろん。あなたを見てるとヨタを思い出すわ」
「ヨタって……ママ? 学院長、ママを知ってるんですか?」
「えぇ。あなたのお母さんとわたくしは、一緒にこの学院に通ってたのですよ」
そうだったんだ! 全然知らなかった! あ、だからノートをもらうとき、じっと見られてたのかな?
どうしよう……。聞いてみてもいいかな……?
「あの……! ママってどんな子どもだったんですか?」
「え?」
「ママはお仕事がいそがしくて、あんまり一緒に過ごしてこなかったんです……。テレビで活躍してるところは見てきたけど、やっぱりママと直接会ったことのある人の話を聞きたくて!」
もちろんパパからママの話は聞かされてきた。だけどパパったら、いつもノロケが入っちゃうんだもん。ごちそうさまってかんじ!
「そうね……。あなたのお母さんは、とても勇敢だったわ」
「勇敢、ですか?」
「えぇ。一度ね、音符が楽譜に吸いこまれずに飛び回って、学院がパニックになる事件が起きたんです。みんな、先生たちも逃げまわる中、あなたのお母さんだけは立ち向かっていったんですよ」
テレビで見たママの姿が頭に浮かんできた。
あばれるどろぼうに、パニックになる人たち。アパルトマンの屋上からあらわれたママはふわりと飛び立つと、音符に乗ってどろぼうへと向かっていった。そして五線譜でどろぼうをしばり上げると、あっという間に事件を解決しちゃったんだ。
あの映像はくり返しなんどもなんども見ちゃった。ママって小さいころからすごかったんだなぁ。
自分とくらべて落ち込んじゃう。だってあたしはママみたいに音符に乗って飛ぶこともできないし、五線譜を自由自在にあやつることなんてできない。楽典のテストだって追試だし。
ママみたいな魔法使いになりたいって思ってここまでやってきたけど、本当になれるのかな……?
あたしがうつむきかけると、頭になにかが乗ってきた。顔を上げると、学院長が優しい目であたしの頭をなでていた。
「わたくしは、才能のない子はこの学院に入れません」
「学院長……?」
「あなたもすてきな魔法使いになれると思ったから、入学を許可したのですよ。いまはまだサナギでも、いつか蝶になれる日がきます。だから、日々努力することを忘れないでくださいね」
学院長の言葉は、あたしの胸にまっすぐにひびいた。
こんなあたしでも、蝶のように羽ばたける日がくるんだろうか。
……いや、羽ばたいてみせる。だってママのような魔法使いになるって決めて、この学院にきたんだもん。
「はい!」
よーしがんばるぞー!
こぶしをにぎるあたしを、学院長はにっこりと見つめていた。
♪
追試も終わったし、次にがんばるべきなのはクリスマスパーティの準備だ。
「おっはよー!」
あいかわらず雪のふり出しそうな空。マフラーをぐるぐる巻きにしたあたしはそれでも寒さに負けるか! と教室に入って元気にあいさつをした。
だけどなんだか教室の様子がおかしい。みんな黒板の方に集まっている。
「どうしたの?」
「あっ、ミリおはよう。どうしたもこうしたもないよー! 見てこれ」
あたしは黒板をのぞき込む。
「なにこれ……!?」
黒板には、みんなが描いた絵が貼ってあった。きのうまでみんなで一緒に準備していたものだ。
それが今はズタズタに切りさかれていた。
「今朝来たらもうこうなってたの」
「一生懸命準備したのに……」
「誰がこんなことを……」
ほんとにひどい……。泣いてる子までいる。
そこに先生が来て、ひとまずは先生が絵を回収していった。
あとで聞いたら、職員会議にかけることになったんだって。
講堂での準備を終えて、昼休み。あたしとナノはカフェテリアでお昼ごはんを食べていた。
「先輩のクラスでも、かざりを壊されてたんだって」
ハンバーガーをほおばっていたあたしは、ナノの言葉に顔を上げた。
「そうなの?」
「うん。星球がぐちゃぐちゃになってたって」
うちのクラスだけじゃなかったんだ。星球といったら、ツリーにかざる光の球のことだろう。ガラス製で中に光を灯せるようになっていて、作るのはとてもたいへんだって聞いた。それまで壊しちゃうなんて……。
「犯人、同じ人なのかな」
「わかんない。だけどもしかしたら複数犯かもしれない。もしくはまったく別々の犯人か……」
さすがナノはあたしより頭が回る。
「これ以上、被害が増えないといいんだけど……」
だけどナノのその不安は当たっちゃうんだ。
♪
最初に事件が起きてから、あれほど大きな被害じゃないけどちょくちょく物が壊れるということは起きていた。カーテンが少し破れていたり、楽譜がなくなったり。
先生たちも必死になって犯人をさがすけど、手がかりさえ見つからないみたい。
どうしてこんなひどいことをするんだろう……。
「ミリ。それはむこうだ」
「にゃ?」
はしごの下のヨクトの声に、あたしはツリーにかざろうとしてた星球とヨクトを見比べた。あ! 赤のかざりは下の方なんだった!
あたしははしごをおりようとする。
「気をつけろよ」
ヨクトの言葉にあたしは変な顔をしちゃう。
あれからヨクトは、なんだか優しい。今だってそうだ。『気をつけろよ』なんて、前だったらぜったいに言わなかった。
混血を少しはみとめてくれているのかもしれない。少しずつだけど、受け入れられるようになったのかも。
でも、こんなに優しくなるなんて聞いてない!
今日だけじゃないの。プリントを運んでるときに手伝ってくれたり、一緒に帰ろうって言ってきたり。ランチにさそわれたときはさすがに断っちゃった。だってナノが生あたたかい目で見てくるんだもん! まぁその後さんざんからかわれたけど……。
とにかく、そのせいでこのところなんだか心臓が変なんだ。
いやみを言われないのはいい。あたしだって毎日けんかしたいと思ってるわけじゃないもの。
でも、心臓がおちつかないのはどうにかしてほしい……。
そう考えながら、はしごをおりていたときだった。
「ミリ! あぶない!」
ヨクトの声にはっとした。ふり向くと、大きな音符が見えた。
こっちに飛んでくる!
音符ははしごに当たって、ぐらりと視界が揺れた。
「あっ!」
あたしはそんな声しか出せなかった。
体がふわりと宙に舞う。このままじゃ地面にぶつかっちゃう!
覚悟してぎゅっと目をつぶったけど、その衝撃はいつまでたってもこなかった。あたしはしっかり受け止められていたの。
「ヨクト……?」
「ってー……」
間近にヨクトの顔があって、あたしは目をぱちくりさせちゃった。なんとヨクトが受け止めてくれてたの!
高いところから落ちたから、受け止めたヨクトはひっくり返っちゃってた。あたしも衝撃で体がいたいけど、ヨクトはそれ以上だろう。あたしはあわててヨクトのうでからおりた。
「ヨクト! 大丈夫!?」
「それはこっちのセリフだ。ミリ、けがはないか?」
「あたしは大丈夫だけど……」
それならヨクトが無事だったはずがない!
「ミリ! ヨクト! 大丈夫ですか!?」
顔を上げると、学院長がかけよって来るところだった。
「あたしは大丈夫です。でもヨクトが……」
「すぐ医務室に。ミリも念のため来るんですよ」
学院長は指揮棒を振ると、音符にヨクトを乗せて医務室へと向かった。
医務室の先生に診てもらったけど、ヨクトのうでは軽い打撲ってことだった。薬しっぷを貼っとけば大丈夫みたい。
学院長は講堂を見てくると言って、出て行ってしまった。治療してもらうところを、あたしは立ったままずっと見ていた。
「……あんま見んな。なんかむずがゆい」
「だって……」
ヨクトがけがしちゃったのはあたしのせいだ。
やばい、泣いちゃいそう……。
「おい、そこに座れ」
あたしがうつむいてると、えらそうなヨクトの声が聞こえた。
ヨクトを見ると有無を言わせない目をしている。あたしは言われたとおり、ヨクトのとなりに座った。
するとヨクトの手があたしの頭に乗せられる。
「な、なに!?」
「おまえのせいじゃないから。気にすんな」
その手はそのままあたしの頭をなで続けた。
……ずるい。そんなこと言われたら、もうなにも言えなくなっちゃう。
「よけようと思えばよけれたんだ。魔法を使って助けることだって。……まぁとっさに使えなかったけどな。思わず手が出ちまった」
ヨクトは優しい声で言う。きっとうではいたむだろうに、あたしに心配かけまいとしてくれてるんだろう。
「それにたぶんだけど、学院長が衝撃をやわらげてくれたみたいなんだ」
「学院長が?」
「そう。飛び交ってた音符もあっという間に楽譜に吸いこんじゃうし、やっぱあの人すげーな」
ヨクトの顔がちょっぴり暗くなる。
そんなにくやしそうにしなくても……。あたしたちだってもっと勉強したら、すごい魔法を使えるようになると思うよ?
医務室の先生が、ぱたんと救急箱を閉じた。
「よし、これで治療は終わり。寮に帰ったら、安静にしておくんだよ」
先生に見送られて、あたしたちは寮へと向かった。
♪
ヨクトのリュックはむりやりあたしが持った。ヨクトは自分で持つと言ったけど、両手をケガしてるんだ。
でもそれも男子寮まで。
すっかり日が落ちて、月がかがやいていた。寮の窓からもれる灯りで、ヨクトが逆光になる。
「悪かったな。荷物持ってもらって」
「ううん、このくらい」
リュックを手渡すと、ひょいっと持たれてしまった。あたし、必要なかったかもしれない?
寮の中からわっと声が上がる。談話室でみんななにかしてるのかも。
あたしはヨクトともう少しだけ一緒にいたくて、なかなかその場をはなれることができずにいた。
「ミリ?」
ヨクトがけげんな声を上げる。
気づいたらヨクトのうでに手をのばしていた。
にゃー! あたしったらなにを!
「うで! おだいじにね」
結局そんな言葉しか言えなかった。もうちょっとなにか気のきいたこと言えないかな、あたし!
手をはなすタイミングを失ってたあたしに、ヨクトはふっと笑った。
「おまえさ、ハーフでもよかったかも」
「へ?」
「耳、かわいいと思う」
耳……。はっ! もしかして!
ばっと自分の耳にふれると、予想どおり、猫耳に変わっちゃってた。
「にゃー! なんでー!?」
「ぶっ……! 気づいてなかったのかよ!」
肩をふるわせるヨクトに、あたしはますますあせってしまう。こんなはずじゃなかったのにー!
「おまえも今日はゆっくり休めよ? じゃあな、おやすみ」
「おやすみ!」
はずかしくてヨクトの顔をちゃんと見れなかった。こんなのヨクトといると落ち着かないって言ってるようなもんじゃん!
あたしは女子寮までダッシュで帰った。
ばたんとドアを閉めて、そのままドアを背にずるずるとへたり込む。
「おかえりー。大丈夫だった?」
勉強机に向かっていたナノがふり返った。あたしは手で顔をあおぎながら答える。
「なんとか。しっぷ貼っとけば大丈夫みたい」
顔赤くないかな? ナノになんか言われたら、走ってきたからって言おう。
そう考えてたあたしだけど、からかってきそうなナノの言葉はない。
顔を上げると、ナノは深刻そうな顔をしていた。
「どうしたの? ナノ」
「うん……。ヨクトなんだけどね、なにかされなかった?」
「えっ、なにかってなに!?」
まさか見られてた!? ヨクトにその……。かわいいって言われたとこ……。
あたしがあせっていると、ナノはがたんと立ち上がった。
「なにかされたの!?」
肩をつかまれてびっくりしちゃった。これは見られてたわけじゃない?
「いやあの……。かわいいって言われただけだけど……」
あたしをぱちくりと見て、ナノはせいだいなため息をついた。
「なに? なにかあったの?」
こんなことを言ったら、いつものナノだったらからかってくるはずだ。でも今日は、なにやら考え込んでいる。
ナノはベッドに座って話し出した。
「ピコ先輩ってね、わたしがクリスマスパーティの準備で一緒になった先輩なんだけど」
あたしはイスを引っぱりだしてきて、その向かいに座った。ナノの表情はとてもしんこくそうだ。なにを言われるんだろう……。
「ミリがのぼってたはしごに当たったの、音符だったって知ってる?」
「うん。学院長が楽譜にしてくれてなんとかなったって」
あたしがそう言うと、ナノはだまり込んでしまった。うつむいてしばらく考え込むと、ようやく決心がついたかのように顔を上げる。
「ピコ先輩が見てたんだって」
その表情を見て、あたしはいやな予感がした。
帰ってきてから、ナノはヨクトのことを気にしていた。ヨクトとこの話と、なんのつながりがあるの……?
「音符で講堂がさわぎになるちょっと前、ヨクトが指揮棒を振ってたって」
あたしは耳をふさいでしまいたかった。
まさかヨクトが犯人だなんて信じたくなかったから。
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