概要
でも、猪飼さんはいつもいい匂いがしますよね
ついつい、いつもは心の中だけで思っている言葉を、ポロリと口から出してまった。
「……でも、猪飼さんは、いつもいい匂いがしますよね」
自分の口から出た言葉に気付いたときにはすでに遅かった。文ちゃんは、ガタッと音を立てて椅子から立ち上がって身を乗り出し、爛々と輝く目で僕を見ている。恐る恐る猪飼さんの方を見ると、こちらを見たまま涙目で声すら出せずに固まっている。心なしかその顔は青ざめているようだ。
ーー
人見知りな先輩、猪飼《いかい》さんと、犬のように鼻の効く若松《わかまつ》くんのものがたりです。
「……でも、猪飼さんは、いつもいい匂いがしますよね」
自分の口から出た言葉に気付いたときにはすでに遅かった。文ちゃんは、ガタッと音を立てて椅子から立ち上がって身を乗り出し、爛々と輝く目で僕を見ている。恐る恐る猪飼さんの方を見ると、こちらを見たまま涙目で声すら出せずに固まっている。心なしかその顔は青ざめているようだ。
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人見知りな先輩、猪飼《いかい》さんと、犬のように鼻の効く若松《わかまつ》くんのものがたりです。