不味い果実
馬田ふらい
味のない果実
味のない果実は不味い。
ぼくはいつもその果実齧る。
口の中で広がる果汁は退屈で苦痛。
歯にひっつく果肉は倦怠感。
しかし分娩室でぼくの身体を乗っ取った慣習や環境と呼ばれる悪魔は、絶えずその果実を食べさせる。
ぼくは今日も不味い果実齧る。
ふとほのかな甘味を感じた。
ふと爽やかな酸味を感じた。
ふと豊穣さに気づき、涙を流した。
不味い果実 馬田ふらい @marghery
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