もう一度あいつを

9741

もう一度あいつを

 私は時空転移装置、いわゆるタイムマシンを発明した。 

 この装置を作るのに、膨大な金額と気の遠くなる時間を費やした。 

 何度諦めかけたことだろう。何度挫折したことだろう。何度躍起になったことだろう。 


 だが、私はそれでも開発を続けた。 

 全てはあいつに逢うために。2016年にこの世からいなくなったあいつにもう一度逢うために。 


 そしてついに、マシンが完成した。 

 長かった。本当に長かった。 

 私は安堵と感動から涙が流れそうになる。 


 しかし目から落ちそうな涙を私はぐっと堪える。以前から決めていた、次に泣くのはあいつにもう一度逢った時だ、と。 

 マシンに乗り込み、システムを起動させる。


『いつの時代に、転移しますか?』 


 私は2016年以前、そうだな、2013年と入力した。 

 マシンがワームホールを出現させ、そこに飛び込んだ。 


 そして私は2013年にたどり着いた。


「やったぞ……実験は成功した!」 


 歓喜の声を上げる私。だがすぐに冷静さを取り戻す。 

 私はあいつがいるであろう、あの場所へと向かった。






「全部で50点。合計で11850円になります。12000円お預かりします。150円のお返しになります。ありがとうございました」 


 私はあいつを……生産終了された日清スパ王たらこ味を買い溜めし、元の時代へと戻った。 


 めっちゃ美味かった。

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