第1章 第2話 ボタン?天使?いえ、腹黒でした

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」


俺は落ちていた。紛うことなく落ちていた。何故こんなことになっていると、あの朱髪天使のせいだ。


数分前…


「よし!それじゃ説明も済んだところでそろそろ転送させようか!」


「おう!」


「それじゃあ、ポチッとな!」


天使はポケットから胡散臭そうなボタンを取り出し、躊躇いもなく押した。


「あ、言い忘れてたけど異世界のどこに転送するかは、ランダムだから。」


「それを早く言えよ!」


そんな訳で今、俺は上空から落ちているわけだ。

ーーヤバイよかなりの速度で落ちてるよ!このまま落下死とか冗談じゃないよ!


半泣きになりながら、さらに加速する自らの体をどうにか立て直し、近くの森林にダイブすることに成功した。


「痛てて…。」


「あの〜、大丈夫ですか?」


そこにはセーラーを着た黄色い髪の少女がたっていた。




「本当に大丈夫ですか?」


「大丈夫、大丈夫」


少女は心配してくれているが、実際、全くの無傷だったのだ。あの高さから落ちたのだから最悪、死を覚悟したが、予想外に体は頑丈らしい。


「ところで、君は今からどこに行くつもりなの?」


「へ?」


少女はきょとんとした顔で俺を見た。


「あなたと同じ場所だと思いますよ?」


「俺と同じ場所?」


「ええ。だってあなたが着ているのは今から行く聖都ヴィーナス学園の制服で、1年を表す緑色のバッジをしているじゃないですか。」


俺は目線を下に移した。そこには、学ランの着た自分の姿があった。驚きを隠せずにいると、あの天使の声がした。


『そうそう、もう一つ言い忘れてたけど、その世界でのあなたは聖都ヴィーナス学園高等部1年っていう設定だから』

『だから遅えんだよ!!』


腹黒天使に対するイライラ度がまた一つ上がったのであった。

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勇者?魔術師?いえ、管理人でした ユー@焼き @yuuattoyakidesu

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