epilogue『恋するプリムラ』
──閑古鳥の鳴かない、小さな木造りの喫茶店。荷台を積んだ、トラックの運転席。水星を冒険する、小型の宇宙船。
そんな世界のどこかに置かれたラジオで今日もまた、件の放送の始まる時間がやってきた。
リスナーは、キーワードプレゼントに応募するため、メモ帳と眠気覚ましのブラックコーヒーを片手に、三人掛けのソファへ深々と腰を下ろす。
フリスクマンの愉快な笑い声と、軽快なジングル。
そこでお約束のように沸き起こる、スタッフ一同の拍手。
その次はもちろん、こうだ。
《「今週もこの時間がやって来たぞ!『教えて!フリスクマン』!」》
ベッドで静かに寝息を立てて眠る一人の少女と、長身のアンドロイド。
ソファに腰掛けた銀髪のアンドロイドは、思い出したように再び立ち上がると、棚からマグカップを2つだけ追加で取り出した。
沸騰したお湯の
それらが静かな寝室に奏でられ、小鳥の
ブラックコーヒーをひとくち
「さあ、本日一通目のお便りは……おや? こいつは、まさか──」
銀髪のアンドロイドが、僅かに口角を上げる。
──その日フリスクマンのもとに、恋するプリムラから"約束の2通目"が届いた。
-終-
冥王星で待ってる 倉野 色 @kuraya_siki
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