第3話『俺がチート能力者?』
「異世界転生……そんな……まさか……ね」
ミリエラはありえないと首を横に振る。
「そうか〜?ま、いいけどね」
カシスは諦めたように言う。
ミリエラは残して来た皆たちを思い出し呟いた。
「——ねぇ、カシス」
「——何だ?」
ミリエラは声色を低くし、言う。
「人は何で死ぬんだろう」
「其れが世界の理だから」
ミリエラは肩を落とした。そして何かを決心したのかカシスに向き合って言った。
「カシス、お願いがあるわ」
————————————————————————————
「本当に……良かったのか?」
2人が向かった先、ミリエラが行きたいと願った場所はミリエラの
仲間たちが戦い、血を流した戦場。
其処でミリエラはある人物を見つける。
「ラ……スラ……」
そう、ラスラである。ラスラはほんの少しだけ息があったのか、
目を少し開け、カシスを見た。
「あぁ……君が……巫女の言っていた……ガハッ⁉︎」
「巫女⁉︎何で巫女が出てくるの⁉︎ラスラ⁉︎」
ミリエラは正気を失っている。
「ゲホッ……清……藍……カシ……ス……お嬢様を頼ん……」
パタッとミリエラの握っていたラスラの手から力が抜け、地面に落ちた。
ラスラは死んだのだ。
ミリエラはショックで黙ってしまっていた。
カシスはラスラの冷たくなってしまった手を握り、小さく呟いた。
「ミリエラは俺が守るから……安心して逝けよ……おっちゃん」
ラスラの口元が、少し笑った気がした。
「ミリエラ」
「なによ……」
「泣きたい時は泣いたほうが良いんだぞ」
「泣くなんて……そう——少し……胸を貸してくれるかしら」
「あぁ」
——静かになった戦場に1人の少女の泣き声が響いた。
「さて、ミリエラこれからどうするんだ?」
「そうね……取り敢えず彼らを埋めないと……」
ミリエラは辛さを堪えるように笑いながら言う。
「ミリエラ……」
「何かしら?カシス」
「お前やっぱ可愛いな」
その瞬間ミリエラが凄い勢いで赤くなった。
「な、なななな、何言って……」
慌てふためくミリエラを見てカシスは吹き出す。
「ぷっ……ふふふふ……っははははは‼︎やっぱ可愛いわ!」
さらにミリエラは赤くなり、更にカシスは笑う。
「かっ、可愛いって言うなぁぁぁ〜‼︎」
一つの抗議する声と、笑い声は戦いが終わった戦場に虚しく響いた。
そして其れから少し経った。
「さて、全員埋め終わったな」
カシスは泥だらけになった手を払いながら言う。
「そうね、私は国に帰るけど、貴方はどうするの?」
ミリエラは手をハンカチで綺麗に拭きながら言う。
「う〜ん……そうだ!」
タッタッタとカシスはミリエラの方へ駆けていく。
「どうしたの?」
と、ミリエラが聞いたが聞く耳を持たずこちらに来る。
ガシッ
突然カシスがミリエラの手を握る。
「どど、どうしたの⁉︎ねぇ、カシス⁉︎」
「どうか……どうか俺を養ってください‼︎」
「——へ?」
ミリエラはカシスが何を言いたいのかを数秒経ってから気が付いた。
カシスは今、衣食住が全て無い状態である。
「ま、まぁ……助けて貰った恩もあるし……良いけど……」
少し迷ってからokを出したミリエラ。
カシスは泣きながら
ありがとうございます!ありがとうございます!と感謝していた。
「あ、待って!その前にっ……と」
ミリエラは何処からかタロットのような物を取り出す。
しかし通常のタロットと違い絵柄が無い。
≪
これがミリエラの能力の一つである。
この能力は相手の能力をタロットに映し出すことが出来る希少な能力だ。
ミリエラはタロットをカシスの胸の部分に当て、詠唱を始めた。
「≪我が札に宿りし・精霊よ・我 真実を知るべし・汝の力ここに示す≫」
4節で詠唱を完成させ、その瞬間タロットが発光し、文字が浮かび上がった。
カシスはその文字を読めなかったがミリエラは読めたようだ。
ミリエラは震えていた。あり得ないものでも見るように。
「ミリエラ?俺に何か能力があったのか?」
カシスは自分に能力があるのかワクワクしながら聞いた。
ミリエラは深呼吸をし、そして語った。
「
聞き慣れない単語、カシスは気になって聞いた。
「何だそれ?凄いのか?」
ミリエラは震える声で言った。
「す、凄いなんてものじゃないわよ……この魔術能力は
これまで誰1人成功せず、反動の代償が大きすぎる故、禁術に指定された。
——最高禁術≪
現実が異世界で俺がチート能力者ってどういう了見ですか? 未柊 @syusya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。現実が異世界で俺がチート能力者ってどういう了見ですか?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます