第5話 勢いで

「えーと、君は何を言っているんだ?」


「だからモンスター図鑑作成者を見つけました」


さらに、??マークを増やし周囲を見る


「どこにいるんだ?生憎だが君の冗談に付き合っている暇はないんだが」

と少しイラつきを見せる。


俺は、ついさっき鑑定してもらった紙を掲げ思い切り言う

「俺がそうです!!証拠はこの紙です。だから罰金なしでいいですね!」


その発言にキルトだけでなく周囲も呆れている。


「そんな嘘に付き合ってられない。」


「本当です!なんなら教会に言って確認してくれてもいいです。今日成人の儀を受けたばかりなので証言してくれると思います。」


というと、キルトは俺に近づき紙を見ると驚き確認する。

「これは本物かね?」


「本物です」


すると受付嬢に指示をだす。


「君悪いがこれを持って教会に確認しに行ってくれ。君・・ペパー君は私と一緒に部屋に来なさい。序でに縛られているキミも来なさい。」


ギルドマスターが戻ると共に周囲は驚き騒がしくなる。



※※


ギルドマスターの部屋に入った俺は四つある椅子の一つに座るよう促された。

隣では未だ縛られている人が座っている。


「改めて、私はギルドマスターのキルトです。今ペパー君の能力を確認してもらっている間に君の能力をどこまで知っているか確認しようと思うんだが、いいかね?」


「はい、と言っても大したことは知らないですよ。僕が知っているのは、図鑑の作り方や図鑑の使用方法だけです。」


「じゃぁ、図鑑が破損したら中のモンスターが死んでしまうという事は知らないのか」


「え!?じゃぁあの破れたモンスター図鑑のモンスターは死んでしまったのですか?」


「いや、あれは本物の図鑑じゃないからね。そもそも本物は手を離れると消えてしまうでしょ?」


「ああ~、なるほど。というよりなんでそんなに詳しいんですか?」


「これでも一応ギルドマスターだからね。代々色々な情報を引き継いでいるんだよ。」


「なるほど、じゃぁ色々教えてもらってもいいですか?」


「いいよ。こっちもそのつもりだったし」


俺の知らないモンスター図鑑の使い方を色々教えてもらっていると扉をノックする音が聞こえた。


「どうぞ」


「失礼します。ペパーさんの能力確認を行ってきました。」


「それでどうだった?」


「間違いありません。珍しい能力ですので鑑定したことを覚えておりました。」


「そうか、ではペパー君の罰金は無しという事で、縛られているキミは色々話があるからもう少しジッとしててね。キミは戻っていいよ」


「失礼します。」


「じゃぁ僕も帰っていいですか?」


「何を言っているんだ?これから図鑑を作って貰うんだからそれの打ち合わせをしないといけないだろ?サポートは必要だと思うけど」


「ん?何を言っているんですか?僕は見つけたら罰金なしにしてくださいと言ったんですよ。それで、ギルドマスターはそれを了承したじゃないですか」


「そうだね。だからこれからの事を話そうとしているんじゃないか」


「だから、僕は見つけてきましたけど手伝うとは言ってないですよ」


すると、キルトと縛られていた男が口を開けてポカーンとしている


「という事なので、僕は帰ります。」

といい席を立つが


「ちょ、ちょっと待ちたまえ、手伝ってくれるんじゃないのかい」


「そんな訳ないじゃないですか。僕は今まで商人見習いしていたのにいきなりモンスター捕まえろと言われても困ります。」


「でも、図鑑の使い方とか色々聞いてきたじゃないか。」


「まぁ使わないにしても、自分の能力なんですから知りたいじゃないですか」


「しかし、知ったら手伝ってもらわないと困るよ。図鑑能力者が少ないとはいえ、この情報はギルドの機密にも関わる事があるんだから」


「そんなの、僕の知るところじゃないですよ。何より僕が教えて下さいって言った時「いいよ。こっちもそのつもりだったし」って言ったじゃないですか。」


「それは、キミがこれから作ってくれると考えていたから話したんだ。」


「それは勇み足でしたね。そもそも、なんで無償で作ってくれると考えていたんですか?ここは探索採取ギルドでモンスターを狩るのを生業にしてる人が多いですが、僕はそれとは無縁の一般人ですし」


「それは・・図鑑を破いてしまった罪の意識とかもろもろで・・」


「そんなのあるわけないじゃないですか。そもそも破ったのは僕じゃなくてそこで縛られている人ですよ。という事で失礼します。」


といい扉へ向かう

「分かった。君がそのつもりならこっちにも考えがある。」


扉に手を掛け振り向きながら言う

「なんですか?」


「この情報を全ギルドに共有する。」


「どうぞご自由に」

といい部屋を出て家路につく。


ギルドマスターの部屋は沈黙が広がっていた。

するとキルトは、口を開く。


「これは、想定していなかったね・・まぁいい。君には模写師を見つけてくる依頼をだす。」


今まで沈黙を貫いていた縛られた男が口を開く

「え、いいですけど。さっき図鑑師に断られたじゃないですか」


「まぁそうだけど、そっちはこっちで如何にかするから君は模写師を見つけてくれ」


「分かりました。因みに期限は・・・」


「そうだね。図鑑も作成には時間がかかると思うから5年以内としよう。見つけたら一度こっちに連れてきなさい。その際に掛かった費用は自己負担という事で罰金はなしにしよう」


「・・自己負担ですか。まぁしょうがないですね。罰金よりマシか」


すると、自分で縄を切り部屋を出ていく。


その夜ギルドマスターの部屋で


「ふふふ。ペパー君こっちにも色々手があるのですよ。若いながらも少しは舌が立つようですが、組織の力を見せてあげましょう」


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更新が遅くてすみません

ストックが無く思い付きで書いているので・・・

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異世界の図鑑士 @Eyestrain

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