第一話『早朝歓迎』

暗く、深い意識に一筋の光が入る。

それは正に、人々を悪夢から覚めさせるように道標を出す慈愛の天使のようであり、

また僕はそれに従ってしぶしぶと意識を覚醒させていった。


「ふう......」


いつもと同じ光景に、いつもと同じような安堵を浮かべる。今日の予定は、確か山菜取りのはずだ。

人々は一筋の太く長い道を進むように、日常、いわゆる生活を営んでいる。

もちろん、そんなことは意識の深いところにあって、普段から意識するに足る問題ではない。

そういうものなのだ、人間とは。

そうやって毎日の生活を営んでいるわけだが、今日は人間にとっては少し特別な日だった。

――魔女消失日。

僕が産まれてくる前、つまり約16年前に、あの「絶望」と呼ばれていた魔女が倒された、言い換えると殺された日らしい。

僕はまだそのころに産まれてはいなかったが、親戚のおじさんからそんなことを聞いた。

どうやら、絶望の魔女がいなくなってからはとにかく平和だったらしい。

耳にたこができるぐらい、そんな話を聞いた。

そんなことを思っているうちに、山菜採りに行く準備ができた。おじさんのところへ行くか。


▷▷▷


「カイン爺さん!準備できたぞー!」


いつものようにおじさんを呼ぶ。本当は爺さんなんで呼びたくないのだが、本人はそう呼ばれることを望んでいる。僕には理解できないが。


「――?」


不意に、違和感を感じた。いつもなら、呼んだらすぐに来るはずのおじさんが、全く来る気配がない。

いや、これはきっと僕の勘違いに違いない。そう思わせて、僕は自分を安心させようとした。

だが、嫌な胸騒ぎがする。これは一体――。

そう思いドアを開けた瞬間、その先程までの僕の疑問に対する答えはすぐに出た。


「あ......ああ......ぁあうわあああああ!!!」


そこには、赤い血溜まりの中に胴体から下を失ったカイン爺さんがいた。

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リセット @Cydia

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