リセット

@Cydia

プロローグ『コンティニュー?』

「まったく、お前というやつは」

「口はでかいが身は小せえな、え?おい」


脳が警鐘を鳴らしている。恐怖を訴えている。肺が、内臓が、肉が、骨が。

体の震えはいっこうに止まる様子もない。それどころか――震えはより強く、なっていく。

生きた心地がしない。まるで、壮大な海に溺れているようだ。


「おいおい甘ちゃんよお、次はねえのか?」


そんな質問と同調して答えを求めるかのように、風が強く吹く。

だが、それに対する答えはない。すべてアドリブで仕立て上げたストーリーだ。計画性など一寸もない。

だが、その会話の間、僕の脳はずっとひとつの答えを出していた。

一体どこで間違えたのだろうか。繰り返しするのは嫌だ。面倒くさい。

でも、今現在とれる方法は、これしかない。と、僕はそう結論づけた。


「俺もあんま我慢強いほうじゃないんだ、知ってるよな?はやく答えを――」

「――リセット」


そっと、僕は震える唇からその一言を音にしたのだった。

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