憑依や幽霊に因んだ作品は数あれど。
久しぶりに泣かされた作品がここにあります。
まずは人物描写。
どのキャラクターも性格・感情ともにしっかりとした個性があり
作品の中で生き生きとしています。
異世界転生によくある、ずば抜けたチート能力やルール無用の
ご都合主義はなく、魔法やモンスターも出てきませんが
物語の世界観、登場人物それぞれにしっかり作りこまれた設定。
これらがしっかりまとまっているので、感情移入がしやすく
この作品の魅力は十二分に発揮出来ていると思います。
安易に力に頼らない勇気と強さ、挫折しそうになっても
周りから支えられ、周りを支える少年の成長がとても好ましく
本当の意味での勇者像とはこうであると教えてくれる作品だと思います。
特にそれぞれキャラクターの感情表現がとても上手く
読み手の私もついつい感情が昂りホロリと泣いてしまったシーンも。
ネタバレになってしまうので詳細は触れませんが
子を持つ父親の葛藤は特に共感しやすかったので
涙ぐんだ後に「してやられたぁ~」と悔しかったです(笑)
戦闘シーンや陰謀・策謀の演出もうまく描かれていますので
読み手が置いて行かれることもなく、
最後まで読みきってしまいました。
もし書籍化されたなら購入したい作品です。
素敵な作品に巡り合えたことに感謝します。
良い物語は、いつまでもその世界に浸っていたくなるような魅力があります。私にとっては本作がそうでした。
主人公は、死んだ人間(霊)の声が聞こえ、その能力をみずからに憑依させて使うことができる。そのことが彼を、物語の中心、つまりゼスペリア州の領主となるはずだった女性と、その妹のもとに導きます。そこからはじまる物語はまさにバトルあり、陰謀あり、ばっちばちのラブあり。描写は臨場感がありつつも丁寧で、読者が置いていきぼりになることがありません。
まわりの女性がみんな男性主人公を好きになってしまうという、いわゆるハーレム要素もありますが、まっすぐに頑張る主人公を応援する姉のような気持ちで受け止められます。ヒロインも、ヒーローも、あるいは悪役や脇役ですらも、それぞれの役割を精いっぱいに果たしきろうとする気概があり、それが読者に伝わってくるのではないでしょうか。
悩み、戦い抜いたからこそ得られる結末のカタルシスを、ぜひ一緒に体感してください。