第3話 自動人形の政府での日常(と訓練)の考察

 自動人形には社会適応訓練が法律で義務付けられている。これは、個人所有の自動人形の場合も変わらず、1体の例外はない。逆に言えば、工房から出荷(現在の自動人形達はかなりの数に上るためこういう表現を好まない自動人形の団体が存在する)される状態は様々な形式のものがあるが、日常生活に困らない程度(だいたい、人間の年齢で言うと10歳~16歳=小学校4年生レベル~高校1年生)の常識が光電子頭脳(前時代の技術を引用しているだけである。技術者にも再現や改良は不可能とされている。だが、かなりの高性能で人間の頭脳とは比較にならない、勝負にもならないという優れものである。ここに『人形素子』を埋め込む事でおおよその性格、人格というものは決まってしまう)にインプットされている。それを、幅と捉えるか欠陥と捉えるかで、学者や技術者の間で何度も論争になっている。


 しかし、出荷される自動人形の形式、これは本当に様々である。四肢が特殊金属製だったり、セラミックだったり、人間の皮膚に一番近い新素材だったり、(体と顔面~頭部全体では無い~には身体は緊急時の予備パーツとして、顔面は人工筋肉等で表情が出る様に、見る者に分かり易く、という点で法律で定められている)と、大きさも種類も本当に多岐にわたる。


 こういった自動人形は一度、工房から出荷後、自動人形専用の特殊訓練施設に入る。これも、法律で定められている。

 訓練内容は、そんな大したことをやる訳では無く、社会生活に適応させることが目的で、もう一つの特殊訓練施設の側面として、社会生活に適応するだけの特殊技能を身につけさせる目的がある。(個人所有の自動人形は例外的に所有者の希望が第一に優先される)

 例えば、事務職の訓練だったり、家事手伝いだったり、その職種は様々である。

 この訓練施設の入所期間だが、個体差(有能な者とそうでない者との差である)もあるが、おおよそ半年~1年くらいである。

 また、ここで社会生活に不適応と烙印を押された場合には、人間社会と隔絶された職種に就くこととなる。


 こうして、訓練を修了した自動人形はそれぞれの地域に活動の拠点を移していくこととなる。

 こうして、自動人形の社会生活がスタートする。

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