第2話

それからは一週間に一回のペースで、夢の中で彼女と会い、遊んだり、おしゃべりするなど楽しい時間を過ごした。その間に私は彼女への思いが友情から恋愛感情へ変わることを実感したもっと、この時間が長く一緒に居られますように、彼女との関係が続き特別でありますようにと願った。しかし、彼女との時間は長くは続かなかった。私の六歳の誕生日の前日に、彼女は私に『もう・・・会えるのは今日が最後なの・・・』と悲しい顔をして私に告げた。あまりにも、急すぎて私は心の整理がつかなかった。『もう会えないの・・・』と彼女に言うと、『正確には、しばらく会えない』と返され、『しばらくって、どれくらい』とすぐに返すと、『一〇年後か、それとも二〇年後か分からない』と言われた。私はもう会えないと確信した。だから、私は彼女に心に秘めていた気持ちを伝える事にした。しかし、私が言おうとした時、彼女は自分の人差し指を唇に当てて、『言わないで。その気持ちは大切に取っておいて』と、あたかも私の気持ちを察しているかのように私の告白を止めた。その代わりに彼女は私に抱き着き耳元で『大好きだよ』と言った。私は抑えきれずに大泣きした。『泣かないでよ。私まで泣きたくなるよ』と私に言うが、彼女もすぐに泣いてしまった。お互い、しばらく泣き、ついに別れの時が来た。

「会えて良かったよ。アンナちゃん」

「うん、私もだよ。清花ちゃん。でも、私の名前はアンナではなく、ユウカなの。嘘ついて、ごめんね」

「そんな事ないよ」

「ありがとう。元気でね」

「うん、ユウカちゃんも元気でね」

 そして、私は彼女と別れた。別れ際に彼女は私に告げた。しかし、彼女は小声で言っていたため、よく聞き取れなかった。あれから三〇年が経ち、今では子持ちの母親。今でも、彼女との思い出は何一つ忘れずに覚えている。あの頃は分からなかったが、この歳になって、別れ際に彼女が私に言った『言わないで。その気持ちは大切に取っておいて』の理由が分かった。彼女の本当の名前と髪型が私の娘と同じで、彼女が描いた絵の母親の容姿が私と同じであることが不思議だ。偶然と言って良いのか、奇跡と言ったら言いか分からない。

「おかあさん、はやく!」

「優花ゆうか、ごめんね。今行くよ」

 今、娘に伝えたい。『私に会いに来てくれて、ありがとう。あなたの笑顔は私の元気の源だよ。そして、大好きだよ』と。あの頃にあった奇跡を信じて。

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夢の中で 魚を食べる犬 @dog_eat_fish

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