第1話

『あの子にまた会える』

 五歳の頃は毎日そのことで胸を躍った。今日は何して遊ぼうか。前はゲーム。その前はおしゃべり。もっと前はシャボン玉。どれもあの子との楽しい思い出。これら以外にもたくさんがあるが、話すと終わりが見えないので、ここでは割愛する。幼い頃は簡単にあの子と会っていたが、三五歳の娘一人を持つ母親の立場で考えると不思議でしょうがない。なぜなら、彼女は私と出会った頃はこの世に居なく、今はこの世に居るからである。ようするに彼女は不思議な人である。では、私はどうやって彼女と出会い、そして、遊んでいたのか。妄想でもなく、前世の記憶でもない。今、この世に存在する私が幼い頃に出会っていた。

 私は日本人の父親とイギリス人の母親の間に生まれた。私が彼女と出会ったのは、五歳の誕生日の夜のこと。家族や親戚が私の誕生日を祝ってくれ、嬉しくなった私は気づかぬ間に眠っていた。その時の夢の中で私は彼女と出会った。とても綺麗で、私と同い年に見えた。私と同じさらさらしたミルクティーのような薄いブラウン色のショートヘアーをしていた。

「はじめまして、アンナといいます。あなたのなまえは?」

 彼女は自分から名前を言ったが、彼女の名前は私の母親の名前と同じだ。

「わたしは清花さやかだよ」

「さやかちゃんか。良い名前だね。これからもよろしくね」

「うん、よろしくね」

 私は夢の中で出会った彼女に名前を言い、彼女と友達になった。夢のため、もう一度出会う事は無理なことであり、その時に私は夢から覚めた。しかし、あの頃の私はもう一度会えると信じていた。その次の日の夜に私はもう一度彼女に会いたいと思い、眠りについた。しかし、彼女には会えなかった。私は一過性だと思った。それから、何度も試みたが彼女には会えず、出会った日から一週間が経った。もうすでに、彼女には会えないと確信していた私は静かに眠りについた。その時の夢に彼女が現れた。そして、私は彼女に『なぜ一週間も現れなかったのか』尋ねた。彼女は『会いたくないからではなく、一週間に一回しか会えないの?』と彼女は私に説明した。私は一週間に一回しか会えないことに納得できず、『なぜ一週間に一回しか会えないの?』彼女に尋ねたが彼女は『それは教えられない』と自然を逸らして答えた。私はこれ以上聞いてもダメだと思い納得して、今日は何をするか彼女に尋ねた。

 彼女は『今日はお絵かきをしよう』と答え、彼女はどこからかクレヨンと画用紙を持ってきて、画用紙一枚を私に渡した。そして、私と彼女は特にテーマを決めずに、自由に描いた。私は家に咲いている赤や黄、白など様々な色のチューリップを描いた。チューリップもそうだし、花にはいろんな色があるから、一つの個性として私は見ている上に好きな花だ。そして、彼女も描き終わり、お互いが一斉に自分の描いた絵を相手に見せた。彼女が描いた絵は大人の女性である。背が高く、彼女と同じ薄いブラウン色の髪をしたロングヘアー。彼女に描いた女性について尋ねると『私のお母さん。とても優しくて、いつも自分の思い出や友達の話をしてくれるの』と答えた。彼女は私の絵を見て、『わぁー、綺麗なチューリップ。お母さんもチューリップが好きだったな~』と言い、私は彼女のお母さんと好みがあっていることに驚いた。

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