ペンが戦場を制す。

松田 鷹次朗

第0話

魔術歴543年7月23日

本日も、光魔法の鍛錬に明け暮れた。

そしたら、またハンセン先生が、やってきて、「そんなものより、家事魔法の訓練をやれ」と言ってきた。

確かに私は全魔法の総本山とされるダレンフェン家の一人娘である。

おそらく、私は、学校を卒業すれば、赤子の時から決まっている婚約者と結婚して、鳥籠のような環境下で人生を終えることになるだろう。

しかし、私は、そんな婚約など破棄して、自分自身の魔法で、生活していきたいと思っている。

かつて読んだ古い書物には「一番良い人生は、自分自身がその時にあった最良の選択をし続けながら、生きること」と書いてある。

第一、ハンセンは、ゆで卵頭でありながら教員頭であることをいいことに、名魔術師の娘たちに「君たちは、嫁ぐのが人生だ。」などと言い…。

「誰が、ゆで卵頭だ!!!!!!!」

その言葉の主ハンセン・グランバー教員頭は、日記を書いていたミーナ・ダレンフェンの前にすでに立っていた。

「見てたんですか。」

「見てたんですか。とは、なんだ。そもそも、ルームメイトのフランソワはどうした?」

「今、風呂に入ってます。」

「そうか、あいつ、監視役をさぼりやがって。もういい、こんなものはこうしたやる。」

そういうとゆで卵頭は、ミーナの手から日記を奪い取るとすぐに炎魔法を唱え、一瞬で分厚い日記を数グラムのもえくずに変えた。

「酷い!これ今日使い始めたばかりですよ!」

「黙れ、そもそも我が校では、生活の記録は、全ての授業が終わった後に、規定の魔法専用筆記用紙に筆記魔法で書くことになっている。しかも、悪口抜きでな!それなのに、お前はそのルールを破り、汚い紙と古びた万年筆で・・・。」

「その話は、もう103回目です。そろそろ、仰る言葉を変更しては。」

「うるさい!これまでは、ダレンフェン家当主の娘だからと言って我慢していきたが、次、日記をつけてみろ。除名処分を懲罰委員会に申請するからな!」

「それは嫌です!」

「なら、次から、規定に従え。それから、フランソワに伝えておけ、部屋にいるときは、監視の目を常に光らせておけとな。」

そういうと、ゆで卵は、部屋を出て言った。

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