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 にゃあ


 あなたのすぐ耳元で鳴き声が聞こえた。顔を舐められる。くすぐったさに目を開けると、ぼやけた視界に、二本足で立つ大きな影が浮かび上がってきた。


「あら、大変」年齢が読み取りづらいソプラノだった。外国人かもしれない――とあなたは思う。声はどこかぎこちない発音で、隣の猫に問う。「あなたのお友達?」


 にゃあ


「そうね、手当てしないと」


 影があなたを抱え上げた。歩きはじめる。進行方向にぼんやりと、オレンジ色の明かりが見えた。


「あなたのご飯も用意しないとね」


 影があなたに微笑みかけるのがわかった。見上げると、左右で異なる色の瞳が優しげに細められていた。


「ふふ、あなたのことは何て呼べばいいかしら」


 あなたは影――わたしに応えた。


 にゃあ

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the cat's meow 戸松秋茄子 @Tomatsu_A_Tick

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