9
にゃあ
あなたのすぐ耳元で鳴き声が聞こえた。顔を舐められる。くすぐったさに目を開けると、ぼやけた視界に、二本足で立つ大きな影が浮かび上がってきた。
「あら、大変」年齢が読み取りづらいソプラノだった。外国人かもしれない――とあなたは思う。声はどこかぎこちない発音で、隣の猫に問う。「あなたのお友達?」
にゃあ
「そうね、手当てしないと」
影があなたを抱え上げた。歩きはじめる。進行方向にぼんやりと、オレンジ色の明かりが見えた。
「あなたのご飯も用意しないとね」
影があなたに微笑みかけるのがわかった。見上げると、左右で異なる色の瞳が優しげに細められていた。
「ふふ、あなたのことは何て呼べばいいかしら」
あなたは影――わたしに応えた。
にゃあ
the cat's meow 戸松秋茄子 @Tomatsu_A_Tick
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます