紛れ込む不可思議な空気。
それらが徐々に、日常を侵食して行く。
いや、初めから壊れていたのか。
重苦しく、生暖かい、濡れた布団が体に纏わりつく、そんな息苦しくさせるような、語りのうまい作者さんらしい(と勝手に思っている)短編集でした。
【極楽少女】
生きて居ると死に近付く。
温かさを求めず、それは羨望、憧れだったのだろう。
死と静に、心を捉えられてしまった少年。
そこに辿り着いていない者は悲しさを覚える、死臭のような物語。
【牡鹿の姉】
キツネ好きの姉の怪談を思い出しました。
不思議な姉の居る日常、その姉と僕の心の交流と顛末を淡々と描いている。
不思議な悲しい物語。