称号使いの革命譚

@4338

第1話


彼女はいない成績は平均より少し上、部活は補欠、美少女との出会いも別れもない、異能力もない。毎日同じように学校に行って同じように過ごして家に帰って寝るだけ。


そんな日常の中布団の中で悶えながら思った。

あぁー~もう世界とか滅べばいいのに。

だってさ、学校ではヤンキーがモテて真面目にやってる俺らは全然モテねぇし。なんでだよ。あんな金髪サルどもののどこがいいんだよ。

んで持って俺のあだ名は?

まさかの《文豪》。

はぁん訳わかんねぇよな、もう一回言ってやろう。

BU・N・GO・U だ。文豪、ぁぁあもう腹立つ。

本読んでたらそれだけであだ名が文豪だぜ?

はぁん?いつ俺が本出した?むしろありがたいが正直に言わせてもらおう。

ネーミングセンスゼロか?腹たちすぎてなんか布団に頭突っ込んだままヘッドバンギングしてた。

正直俺がからかわれてるのはどうでもいい。

周りがみんな盛った猿みたいな奴ばっかなのが嫌なんだよ。

言葉遣いは汚いし常識はない、そんな奴らばっかだから世界は汚いんだよ。

あいつらみたいなのがいるから世界は平和にならないし虐めも貧乏もなくならない。

何が悪いかっつったらあいつらが全部悪いんだよ。俺は悪くない。

燃やして殺してやろうか。関節技をかけて関節折ってから殺してやろうか。

全員反省して切腹してしまえ。

ウルセェんだよお前ら授業中にラップすんなよ。しかも韻は踏めてないし全部誰かのラップバトルのパクリだし。


もういいや、俺に世界は変えられないし全員が美しい心を持つことはない。

せめて俺だけでも綺麗な心を持って生きて行こう。このど汚い世界はなんだかんだ進んでいくだろう。


もういいや、寝よう。

部屋の照明を落とし、目を閉じた。


「君は邪魔なんだよ、美しくない。」

夢なのか?頭に直接響いてくる、若々しい男の声だ。朝か?ん、目は開かないし視界は白い、どこまでも何もない空間がある。

「なんの話だよ。」

「僕は美しい世界を作ってるんだよ。君みたいなじっとりとした性格の妄想家は僕の世界にいらない。気持ち悪いし面白くないし、なにより汚い。」

何だこいつは夢の中で言いたい放題しやがって、俺のメンタルが折れるぞ。てか自分でもそんぐらいわかってるし別にいいだろ。個人の自由だ。俺は誰のものでもない。

「いいや、君は僕のものだ。この世界も僕のものだ。だから僕の思い通りにならない奴はどうしてもいい。僕の自由だ。」

は?こいつは一体何を言ってるんだ。これは本当に夢なのか?というか誰なんだ?

「僕はこの世界の創造主だ。今まで幾度となく世界を良い方へ導くために姿を変え現れたよ。キリストとかブッタとか呼ばれて時期もあった。というわけでこの世界は僕が作っただから僕の自由にしていい。もちろん君も。あとこれは夢だ。ただし夢の中で本物の御告げを君は受けてるけどね。」

御告げってこんなありがたくない感じに受けるものだったのか。むしろこれは忠告なんじゃねぇのか?まぁいい、こいつが何と言おうと俺は悪くない。

「俺は悪くないだろこの世界が汚いのはやクソ野郎どものせいだろ?」

「いいや違うね、実際問題彼等が道徳的にどうかはどうでもいいんだよ。」

「は?」

なんでだよ。人間社会は道徳で成り立ってるんだろ?

いやそうでもないか。

「世界の美しさは、如何に本気で人生を送るかにあるんだよ。一生懸命に人生を送って本物の喜びや本物の悲しみを感じるその姿こそが真に美しい。」

俺だって一生懸命生きてるんだよ。なのにあいつらが邪魔をするんだ。俺は頑張ってる。あいつらも頑張ってるかも知れない。

「でもあいつらがやってることは間違ってる。」

「必要悪なんだよ彼等は。善と悪のバランスは善が3悪が7位が丁度いいんだよ。正義は逆境の中でこそ美しく輝く。」

あぁもういやだ何も考えたくない。絶対こいつは意見を曲げない。俺はどうなるんだ。

「善が多い方が綺麗な世界になるに決まってんだろ。」

「まぁ全体でみればそうだね。ただそんなみんないい子の世界にドラマは生まれない。そんな世界面白くないだろ?」

「いいや、この世界はど汚いよ。」

そうに違いない。今まで俺が見てきたものは少なくともそうだった。

「もういい、喋るのもめんどくさいし単刀直入に言おう。僕は美しい世界を作りたい。でも君は汚い、だから間引く。あまりの汚さに僕は腹立っている、けど君の存在を消すことはできない。君を別の世界に移すことしかできないんだ。だから1つ呪いをかけよう。人に思われたままの人間になる呪いだ。この呪いをかければ人から見て君が汚いかどうかわかるだろう?ピッタリの呪いだ、この呪いで君という人間は如何に汚いか知ればいい。」

俺がいかにダメな人間か勉強してこいってことか?


「知るかよそんなこと。」

わかっても改善できるわけねぇだろ。クソ想像主が。

「誰がクソ創造主だ。」

「そんなこと思うわけないじゃないですか。」

心読めんのかよ。

「じゃあね。#ゴミの世界__ガーベッジワールド__#に行ってらっしゃい。

君にかける呪いの名は【称号の呪い】だよ。」

「ちょっと待て訳わかんねぇよ、呪いって何だよ。戦争も貧乏もなくならない、いじめすらも横行してるのに世界のどこが美しいんだよ。」

「なら、最後に一言贈ろう。

それでも世界は美しい。」

空間の白が俺の視界を侵食して何も見えなくなった。

本当に異世界に連れて行かれるのだろうか。

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