俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺。

ちびまるフォイ

俺って何回書いた?

「ふあぁ……朝か……」


目を覚まして洗面所に向かうと人にぶつかった。


「あ、すみません」

「いえこちらこそ」


「……え!?」


独り暮らしの部屋に誰かいる。一気に目が覚めた。

いったい誰だと言いたくなったが部屋にいたのは俺だった。


「「 なんだ俺がふたり!? 」」


お互いに同じタイミングでびっくりした。

事情を聞いてみても、どうやってふたりになったのかはわからない。


「で、どうする?」


「どうするったって……仕事にいく?」


「……真面目だな。俺だからわかるけど」


じゃんけんをして負けた方の自分が仕事に向かった。

夜遅くに帰って来た俺は、俺とゲームをして寝た。


翌日、目を覚ますとソファで眠っている3人目の俺がいた。


「増えてるぅぅう!!!」


「……なんだようるさいなぁ……ってえええええ!?」


3人目の俺もびっくりしていた。


「お前、いったいどうやって増えた!?」


「増えたって、普通に家に帰ってきて普通に寝ただけだよ!」


3人目に聞いてもやっぱりわからない。


「なぁ、今日はどうやって増えるか徹夜で監視してみようぜ」

「さすが俺」

「さえてるな」


自画自賛をしたところで新人?の3人目が仕事にいかされた。

めっちゃ文句を言っていた。


3人目が仕事を終えて帰ってくると、みんなコーヒーをガロン単位で飲み目を覚ました。


「突き止めてやる。どうやって自分が増えるのか」


時間はこくこくと過ぎていく。

そして、日付が変わった深夜0時。


「……ただいまー」


家のドアが開いて俺が帰って来た。


「え!? なんで俺がいるんだ!?」


4人目の俺は、3人の俺たちを見て驚いていた。


「また増えた……」


もう完全にわからない。俺たちは一致団結して考えないようにした。

それから毎日俺は増え続けたが不満はおきない。


「ということで、仕事に行くのは新顔のお前だ」


「えぇー……お前たちはなにしてるんだよ」


「俺たちは遊びに行く」

「ずるい!」


「気にするな、1日だけさ。その後はまた新しい俺が増えるから

 今日だけ仕事をすれば明日以降はずっと遊び行ける」


「いってきまーーす!!」


136人目の俺は元気に家を出て行った。

その夜、82人目の俺が全員を集めて話をした。


「……彼女ができた」


「「「 なにぃぃぃ!! よくやった! 」」」


俺たちはお互いのプライベートも共有している。

良い事はお互いに共有し、悪いことはみんなで解決する。


彼女ができれば……。


「俺が会う!」

「ばかやろう!俺だ!」

「順番に彼女とデートすればいいじゃないか」


「ふざけんな! 俺の順番まで136日かかるんだぞ!!」


もめにもめまくった。

82人目の手柄とはいえ、俺たちは一心同体。

殺し合いにもなりそうだったのでやっぱり順番になった。


翌日、137人目の俺が増えた。


「よし新顔の俺。今日は仕事にいってきてくれ」


「えーー……でも、お前たちは彼女とデートだろう? 俺だけ仕事?」


「ああそうだ。でも今日だけだから。明日からは俺が補充されるかずっと遊べる」


「納得いかないなぁ……」


137人目の俺はぶつぶつ文句をいいながら家を出て行った。

俺たちは布団に戻って二度寝してニート生活を謳歌していた。


そのはずだったが、ケータイに連絡が入ってたたき起こされた。


「え!? 俺が会社にいってない!?」


「どういうことだ!」

「まさか彼女のもとにいったのか!」

「137人目め、抜け駆けを!!」


「探すぞ! 俺が行きそうな場所、俺ならわかるはずだ!!」


俺というやつはなんてずるがしこいんだ。

俺たちのべ136人による大捜査線が始まった。


日が暮れるまで探しても見つからなかったところで俺たちはあきらめた。


「小学生のころの秘密基地にもいなかった。いったいどこへ……」

「もう無理だよ。あきらめよう」

「でももう彼女と会えないんだぞ」

「それは嫌だな……」



「彼女の家じゃないか? まだ探してないよな?」


82人目の言葉に全員がハッとした。


「そうだ! まだ彼女の家にいってない!」


「あいつめ! 彼女の家に逃げていたのか! 許せない!」


俺たちは彼女の家に向かった。

彼女の家には137人目の俺がたっていた。


「いたぞ! この裏切りものめ!! 観念しろ!!」


「待ってくれ!! 話を聞いてくれ!」


「抜け駆けしたくせに何言ってる! お前なんか俺じゃない!」


「そうじゃない! これを見てくれ!」


137人目の俺は彼女の家のドアを開けた。

そこにはうじゃうじゃと彼女が待っていた。


「増えてたのは俺だけじゃなかったんだよ。

 こんなに彼女がいれば、俺たちが彼女を取り合うこともないだろう」


「俺……」


「俺はみんなを幸せにしたいんだ。自分だけ助かろうなんて思ってない。

 同じ俺なんだ……わかるだろ?」


「そうだな……俺はそういうやつだ」


137人目はみんなに彼女を分配したかったんだ。

俺のやさしさに俺は涙を流した。

そして……。


「なぁ、俺ならこの後どうするかわかるだろ?」


「さすが俺……ゲスなことを考える……」




結局、俺はほかの俺にこのことを伝えなかった。


だってそうじゃないか。


黙っていれば、ハーレムを味わえるんだぜ?

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