第16話 鰯のオイルサーディン

 どうも、一年以上放置していましたが食に関わる詩、エセーなどへの自前の自主企画への参加ということで更新の運びとなりました。それでは、下記に京都府ホームページからの抜粋を入れていますので前口上としてお読みください。


◇◆◇◆◇


その昔、天橋立近くの海で、黄金の酒だるを舟に乗せ酒盛りをしていると、ふとした拍子に酒だるを海へ落としました。網で拾い上げようとしたところ、酒だるのかわりに黄金に輝くイワシで大漁になりました。大変おいしく「金樽(きんたる)いわし」と呼ばれました。

  こんな伝説の残る丹後のマイワシ。近年、資源の激減のため庶民の味から高級魚へと変身しました。気候の変動によって、マイワシと餌の植物プランクトンの関係が悪化し、稚魚の生存率が悪かったためと考えられています。

  環境要因により変動する現象は「魚種交代」と呼ばれ、周期的に起こるといわれています。日本近海ではマイワシに代わりサワラなどの資源が増えています。


京都府立海洋センター海洋調査部部長 角田孝一(現在、京都府水産事務所)

(平成17年1月4日、京都新聞掲載)


◇◆◇◆◇


金樽いわし!

良い響きだと思いませんか。京都府北部の方は良くご存知の宮津のイワシのオイルサーディンを使った料理といきましょう。と、いうか昨年の冬に計三カ月のある研修に参加した際に、厳しい研修の一日の終わりの楽しみと言えば酒か食べるか、だったんですよね。何しろ近くのコンビニまで歩いて片道15分かかるし、農協スーパーは5時に締まり、後は人より近所の豚舎や牛舎の家畜の方が数多くない?という環境での缶詰め生活でした。そしてまた施設の飯が不味い、さらに鯖の塩焼き、鯖の味噌煮、鯖のフレークと野菜の和え物という鯖づくしが三日三晩続いたかと思えば、冷や奴、厚揚げの煮物、卯の花、豆腐ステーキ、豆腐の好き煮……鯖或いは何かの魚と豆腐料理のローテーションという◯✖️市には豆腐と魚しかねぇのか?という皮肉が生まれそうな食の拷問を受けただった。

いや、本当にハードな研修のなかで食という楽しみまで奪われたら精神は荒野と化します。そんなわけで我々は酒をメインにストックする者やコンビニで休みの間に買いだめしたり、地元から特産品を皆んな集めようぜ!という出会って一週間立たずに素晴らしい結束が生まれたのでした。


ぼくはとりあえず二週目から自炊をしたのですが、実家に頼んでイワシのオイルサーディン、詰め合わせを送ってもらいました。これ、結構高いのですが京都市から来た人なんかはかなりの確率で買い求められるヒット商品!是非、お取り寄せして食べてみてください。他のオイルサーディンより頭一つぬけてますからね。 酒のつまみになるし、料理も色々出来る!なんか前置きが長いので、いざ料理へ。


手軽なのが缶詰めだから缶のまま、ローズマリーや唐辛子を輪切りして放り込みオーブンで加熱するだけでも、つまみになるしハーブソルト🌿を振ってニンニクを入れてもいい。

で、出してみたら非常に好評だったのだが……さらに凝った料理を要求された。いや、今日提出のレポートすんでないんだけど、親指立ててもだな、いや、何そのすべて任せ切った顔は……


五分後、キッチンに立つ帆場の姿があった。食材は玉ねぎ、オイルサーディン、なんやかんやと冷蔵庫に詰め込まれていた。しかし、レポートを書くことを考えれば時間かけたくない。うん?なんで耐熱のガラス皿が、寄贈て研修中に何考えてんだ去年の研修生。いや、都合はいいのだけど。


30分で終わらせてやる。パスタをまずは茹でる。その間に玉ねぎを透き通るまでバターで炒め、誰だよ小麦粉まで持ち込んだのは、助かるじゃないか。小麦粉を炒めた玉ねぎのフライパンに入れ、炒めるべし炒めるべし! ハーブソルトにコンソメ、牛乳ないから豆乳をフライパンに投入!茹で上がったパスタも投入! トロミがつくまでくつくつやります。なんかあちらでは、レポート済ませた酔っ払いが卓球を始めやがった。食べるだけの豚どもめ🐷とフライパンの中身を耐熱のガラス皿に、その上にオイルサーディンを均一に並べて、トロけるチーズをたっぷりのせます。冷蔵庫に茹で置きしてとポテト🍟もトッピング、ハイ、もうお分かりでしょうがグラタンですね。後はオーブンに入れて仕上がり。

大人数には良い料理ですよね。大皿料理みたいな感じである。焼いたパスタを仕込んでも食感が出て良いですね。今回は乾燥湯葉を持参していたので最後にトッピングした。


そうして飢えたピギー🐖たちを静かにさせながら、酒杯を傾けつつレポートを打ち込むのだった。しかし、考えてみるとこの料理を作る行為は普段の生活で習慣付いているので、やらないと逆に調子が出ないと気づいたのだった。だからといって毎日、やってやる義理はないのだが。


しかし、この食べる楽しみ、作る楽しみ、何が出てくるのだろうというわくわく感は精神的に参っているハードな研修の最中の癒しのひと時だったと今では思えるのだ。金樽いわしの黄金のかがやきが不毛の荒野に花を咲かせたかのようだった。


なんて締めたら詩的なエセーに見えるだろうか、いや見えないだろうね。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゆるゆる食楽レポ(食ったら太るのはわかってますよ!でも美味いモンはやめられないんだよ!!!) 帆場蔵人 @rocaroca

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ