数学の先生。

これが青春

授業が始まる前

ゆっくり歩いてくる数学教師を捉えながら「ああ、今日も可愛い・・」なんてアニメなら目がハートマークだろうとでも思うぐらい心の中が荒れ出す。

目に入るだけでも、嬉しくて仕方がない、幸せ。

でも。

「せんせえ！」

私の大大大好きな数学教師に媚びを売るブスちゃん

嫉妬心というものは、こういう時に生まれてきて

「・・何あいつ媚び売ってんの?何?ぶっ殺されたいんか?」

なんて言葉がぽろり、口からこぼれて

周りに友達がいるのも気にしないで

その子と数学教師が話すのを横目に、面白くない、なんて思いながら友達と話しまくっていた、それはもう、見たくない思いを隠すほどに

授業が始まって

「教科書90ページ」

なんてやる気が全くない声でそう言う数学教師に、他の人から見たらやる気ねえな、ちゃんとやれよ。という思いが生まれるだろうけど

私は違う。

なんてったってアイドルの中で数学教師がいたら10万は必ず注ぎ込むほどの重度ファン並に大好きなのだから

心の中は可愛いという思いで満たされていく

ああ、満たされていくこの感じ、すっごく幸せ

にやけそうになる顔を必死に引き締め直しながら

他の授業は絶対寝てやるのに

数学教師が可愛くて、可愛すぎて

目が離せなくて。

授業を聞くというより、毎回数学教師をガン見して

自分でもそろそろ気付かれるんじゃないか

そう思ってしまうぐらい。

・・・なんて、妄想を繰り広げていたら

「体調平気?」

なんて声をかけにわざわざ私の隣に来てくれて

顔が緩みそうになったけど

・・・というか、緩んでるけど

「大丈夫です」

という声を発した

気恥ずかしいが、本当に好きなんだ、この教師が。

手で少しグッドサインを作って

周りから気にかけるように

面白がるように見られているけど

その中に、ひとつだけ私に向けられている視線があって

気まずくて。

きっと元彼だから

あんまり気にせず、授業に

ずーっと、授業のことだけになるように

視線を無視した