数学の先生。

あのった

like

私は、数学の先生が好きだ。



きっと授業を教えている生徒の一人、要するにモブキャラみたいな生徒Aぐらいにしか見られていないだろうけど、数学の先生が好きなのだ。

私が数学の先生が好きだ!と周りに伝えると、周りも好きになり始めた

それも、loveで。

違う

私が先生を好いているのはあくまでlike

年の差もあるし、相手もしてもらえないのに

本当に恋をするなんて馬鹿げた事、恐れ多くてできやしない。

あまり学校には行っていないけれど

先生の一つ一つの表情が本当に大好きでしょうがなくて

どうしようもないくらい心がドキドキする。

やっぱり恋かな

そう思うことは少なくはないが、それでも友達感覚で好きですという思いでなければきっと私は私でなくなるし

ほかの子に構っていたりしたら嫉妬に溺れるだろうし。

とにかく、見ているだけで幸せ

話しかけられるとぶっ飛ぶぐらい喜ぶ

本当にそれだけで、今はいいんじゃないか

純粋に、そう思う。



今でこそ学校に行っているが、一時期本当に行かなかったことがあった

精神的な疲れもあって、行きたくない思いが一層強まる。

私とよく通話する彼女は結構冷たいが、思わず笑ってしまうような発言をしたりすることが度々あったので、その時間に浸ってたいという思い

家でゆっくりして動画を見たり、レベル上げをしたりして自分に自由をずっと与え続けていたい

やっぱりその心が強くて

どうしても、学校に足を向けようなんて思わなかった。

それに、友達とのトラブルもあって。

私が悪いと決めつけて生きているのが腹立たしくてしょうがないし、いちいち真似してくるし、その彼女の事は今でも好きではない。

今私は学校で行ったら喜んでくれるかわいい子がいてその子といるのが楽しい

家にいてたいみったーをすることももちろん面白い

でも、なんとなく

喜んでくれるなら、ちょっとは行くかと

最近、少しずつ足を向けるようになった。


学校なんて元から好きではないし、むしろ大嫌いだ。

どこら辺が嫌いかなんて数えようとも思わないけれど

嫌いだ、大嫌い

けれど、喜んでくれる親友に先生

多少は希望があったりする。

でもやっぱり、担任の切羽詰まるような質問や腹立たしいその声

進んで自分から行こうとは、思わなかった。



そんなこんなで、今日の出来事。

例の私の大好きな数学教師が、早退の準備をしている時。

「雨降ってるよ?傘借りていく?」

なんて嬉しい声をかけてくれた。

でも、私は

「あは、大丈夫ですよ」

なんて曖昧に笑って

借りようかな、なんて思ったけど

とりあえず家に帰りたい気持ちもあったので、断りを入れた

けれど先生は

「んー・・・・いや、濡れたら体に悪いよ、ほら」

ちょっと笑いながら傘を差し出す手は心なしか冷たそうで

骨ばっている手から、目が離せなかったけど

「えっあっ・・ありがとう・・ございます・・・」

恥ずかしいけれど、そんな心遣いをしてくれた先生に一層好きな気持ちが高まって。

心臓はうるさいし、目の前の先生は優しいし

まずい。

本能的にそう思った。

私が混乱している中、先生がふにゃりと笑って

「外行って保健室まで行く時だけね、間違って持って帰るなよ?」

なんてちょっと意地悪そうに笑うものだから

体の芯が火照るのをいやってほど感じたけれど

その笑みに全部持って行かれて

「ああ、この時間が続けば」

なんて柄にもなく思って。

差し出された傘を、すごく持って帰りたいけれど

そんな気持ちは押さえ込んで

また、ありがとうございます、なんて

多分その時私は、照れていたと思う。

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