第3話

未來の希望、友達、何も持ってなかった私は、両親まで交通事故で亡くし、本当にどん底だった。

逃げる場所も、一緒に泣いてくれる友達も希望も何一つなかったんだ。

その私が、友達、いや、むしろ親友、ゆかりおばさんとのいい関係。

それに、やってみたい仕事まででてきた。

この変化に私が一番驚いている。

そして、今あるものを本当に大切にしたいと思っている。

人は、何かのきっかけで変わる事ができるんだなあ。

何故か、涙がながれた。


「横川さん、私、美味しいもの作る人になる」

私達二人は、本当にいつも同じお店でランチをしている。その方が落ち着くのだ。

今日もパスタのお店に来ている。

「なに?いきなり、料理人になるの?」

「うん、なりたいの、初めてやりたい事が見つかった」

何故か、お互いみつめあった。多分、横川さんが私の本気を確認したんだと思う。

「そっか、頑張って」

「うん」

「忙しくなるね」

「うん」

やっぱり、小さなお店で働きたかった。

何となくその方が自分に向いてる気がする。

料理人といってもカフェとかの料理を作る人とか、そんな感じの方が私の思っているものに近い気がする。

美味しいものは、人を幸せにする。

私は、いつも悲しい時は美味しい物を食べてきた。

だから、美味しい物を作る人になりたい。

私の美味しいものとは、家でよく食べてるようなもの。

そういった料理をちょっと手間をかけて、美味しく、見た目も可愛くしたい。

そしていつか、ちっちゃなカフェができたら嬉しい。


「瑠美ちゃん、働く場所決まってよかったね」

地下鉄で3つ目の駅の近くのカフェで2週間後から働く事が決まっている。

「うん」

「瑠美ちゃん、私、来週、家に戻るわ」

「え~、おばさんどういう事?」

「実は、瑠美ちゃんの居ないときに、話し合ったりしてたの、それで、もういいかな~って、やり直してみようかなって思って」

「そうなんだ」

「私、多分、すねてたんだよね、私を大切にしてもらえてない気がして、すねてたの、私を大切にして!って」

「大人でもそんな時あるの?」

「ある、ある、でも、もうそこから卒業する」

「ふぅ~ん、あっでも、寂しいなあ、おばさん居なくなったら、おじさんと仲良くなってはほしいんだけど、寂しい」

「瑠美ちゃん、寂しい時は、遊びにおいで、私も来るし」

「うん、そうだね」


「かんぱ~い!」

その日は、横川さんとゆかりおばさんと私で旅立ち会をした。

ゆかりおばさんの引っ越し、いや元に戻るのと私の新しい仕事のお祝い会だそうだ。

横川さんは自分の事を今日は応援する観客だと笑っている。

「瑠美ちゃん、お店持ったら、雇ってね」

ゆかりおばさんが言う。

「まだ、はやいって、一日もまだ働いてないのに!」

「そうだよね~」

「うん」

すごく楽しい時間を過ごしている。

「瑠美ちゃん、とにかく頑張って」

「浅田さんならきっと大丈夫、頑張って」

ゆかりおばさんと横川さんが応援してくれてる。

「うん、ありがとう、頑張ってみよう、かな」



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青天の霹靂 絹 さや子 @hana888

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