第3話 予想外!?



「おーい、早くしろよ。そんなゆっくり歩いていると日が暮れちまうぞ!」


僕は後ろに続く2人に催促した。


「まぁ、待て。いつ何時に将来のヨメが現れるか分からんだろう。常に全方位気を配りながら歩みを進めることがデキる戦士の心構えであってだな…」

「いやいや、街から離れたこんな森の中からヨメが出てくるなんて聞いたことないけど。」

「ケイスケ、君はそんなだからヨメに出会えないんだよ。こんないい天気の日に顔が隠れるくらいのローブなんか被って不健康な格好をしていたら、誰も君を見つけてはくれないよ?」

「別に、僕はまだヨメなんか欲しくないよ。そんな時間があったら、魔物に効果的な属性魔法を調べる方が有意義だよ」

「なんでもいいから、早く来いって」


街からそんなに離れていないものの、最近酒場の依頼の中にこの森に出現する魔物の討伐依頼も出ている。スライムや野生のウルフなんかもいれば、最近では日が沈むと大型のオーガも出現するという。

いわゆるレベル1の僕らからすれば、初心者の森に出現する魔物ですら危険だ。噛みつかれでもしたら、血も出るし、何より痛い。痛いの嫌だ。



2人と何度繰り返したかわからないくだらない話をしながら、依頼人の家に到着する。


「やっと着いた。はぁ〜、何だかもうお菓子が食べたくなってきたよ。何か食べるものあるかな?」


ユータは早くも丸いお腹をさすってそんなことを言っている。


「ほら、依頼人を待たせているんだ。まずは、依頼内容を確認しよう。」


ケイスケは衿を正して、扉をノックする。


「すみません。酒場で依頼を受けやって参りました。どなたかいらっしゃいませんか?」


家の近くでは綺麗に手入れされた畑があり、太陽の光を浴びてみずみずしく光っている。


「ハーイ。お待ちしてました。どうぞ、お上がり下さい。」


ゆっくりと扉が開く。



「‼︎」



僕らは互いの顔を見合わせた。出迎えてくれたのは、僕らと歳も変わらない女性だった。

いつも酒場でヨメだなんだと騒いではいたものの、若い女性に免疫がない。野郎3人でキャッキャしてても、実際に行動には移してはいなかったのだ。


「遠慮なさらずどうかお上がり下さい。ちょっと散らかってるかもしれないですが…」



と、誰が見ても謙遜だとわかるくらいに整理された玄関から顔を出しながら女性は微笑んだ。


僕らは頭を掻きながら、お言葉に甘えてお邪魔することにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

まだ見ぬ嫁を求めて魔物退治(仮) 君野笑顔 @chatmoncy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ