俺の我が儘


…正直俺は怖かった。


とても、とても怖かった。


だけど、皆を不安にさせたくなくて…


俺は平気なフリをしていたんだ。



ー手術の前日ー


俺は震えが止まらなくて、布団の中で身体を抱き締め耐えていた。


すると、ノックの音と共に祐介が病室に入ってきた。


「涼…」


「…っ、祐介!?」


俺はガバッと布団から顔を出す。


「…いよいよ、だな」


切り出す祐介に、俺は小さく頷くだけ。


「…うん」


俺も祐介も暗い雰囲気に耐えれず顔を附せている。


「………」


「………」


お互い黙ったまま、数秒が経った。


「…祐介」


重たい沈黙を破ったのは俺。


「どうした…?」


祐介は顔を上げ優しく見つめる。


俺も真剣な顔で祐介を見つめて。


「俺を、抱いて」


そう言った。


「!?お前っ、そんな身体で何っ…」


「お願い、祐介。俺の我が儘聞いて…これが、最期かも知れないから…」


俺の身体を心配する祐介の言葉を遮って懇願する。


「だから…滅茶苦茶に犯して」


そんな必死なお願いをする俺に祐介は一瞬黙った後。


「…分かった」


そう答え、そっと俺に近付き口付けをした。


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小さな祈り 萱草真詩雫 @soya

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